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切り取られた『くたばれ評論家』

ネットで有名な『エスパー魔美』のエピソードが無料公開されていた。

「ネットは切り取られの文化だ。」
人生の3/4くらいをインターネットで過ごしている僕は合言葉のようにこう言っているのに、僕も何度か引用したことあるこのエピソードを実は読んだことなかった。反省せねばなるまい。

だからちゃんと読んだ。よく出来た話だなあ。
よく切り取られるページだけ読むと、作家は公表した作品については何を言われても怒って泣き寝入りすることしか出来ないという側面しか伝わらない。しかし実際には批評家からの視点も入れて両方の意見をちゃんと擁立させている部分が素晴らしい。

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僕はこうやって手遊びに批評みたいなことをしているけれど、それでも僕の考えとかを公表ものに対して意見を貰ったりすることもある。このように批評する方も批評をされるリスクを負っている。
「どんなに心血をそそいでかいても駄作は駄作。」という台詞も後に分かる寿命を賭して彼のライフワークである論文を書いているというお話にも掛かっていて、説得力もあってストーリーとしてもよく出来ていると思った。


しかし有名な部分だけ切り取られたものだけで知ったようなことを言うもんじゃないなと改めて反省した。

あの有名な福沢諭吉の『学問のすすめ』の冒頭の書き出しだって「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という部分だけは知られているけど、その続きは「だけどこの世界は賢い人も愚かな人も、貧しい人もお金持ちといった格差がある。その格差は勉強しているか、していないかである。(超意訳)」と言っている。
「格差はない」って言ってる訳じゃなくて「勉強しないと格差が生まれちゃうぞ」っていう厳しいことを言っているのだ。

このように都合のいいところだけ切り取ってしまうと、本来伝えたかった意図をくみ取れなくなってしまうことにはならないようにしないとなあと思う訳です。


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