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小学生にもわかる成語「一叶障目」

成语【一叶障目,不见泰山】

Yīyèzhàngmù, bùjiàn tàishān

大家好,うさぎの中国語の小兔子(シャオトゥーツ)です。
今日は「小学生にもわかる成語」ということでみなさまに中国の成語をご紹介したいなと思います。

ただ意味を伝えるだけでは面白くないので、それぞれの成語にある物語と共にご紹介したいなと思っています。
実はこの成語の裏側にあるストーリーって調べると結構面白くて、
歴史的なものも学べて、一石二鳥って感じで私もハマってしまったんですよね。
だから今日からYouTubeの方で音声という形で
みなさまにもシェアしたいなと思いました。
こちらのnoteには配信したものを文字起こししております。

今日の成語は

「一叶障目」


これはよく「一叶障目,不见泰山」とセットで使われます。
まず最初にこの成語の直訳は

「一枚の葉が目を遮って、目の前の泰山すら見えない」


となります。

泰山は中国山東省(さんとうしょう)泰安市(たいあんし)にある世界遺産の山で、高さは1545メートル。道教の聖地である五つの山のひとつなんです。

葉っぱがたった1枚目の前にあるだけで、視野が狭くなって、泰山すら見えなくなってしまう、つまり物事の全体像や本質を見極められないということです。

たしかに、私自身も目の前の小さいことにばかり集中してしまうと、全体のバランスがちゃんと見えてないとかね、日常にもあると思うんですよね。

ちょっとしょうもない例を出すと、
眉毛を書いているとき、眉毛ばっかり見たらあかんっていうね。
綺麗に描けたと思って、鏡で顔全体みたら、右左ゆがんでたとか。

こういうしょうもない例を成語に使うのはおかしいので、もうやめておきます。
次に紹介する成語の裏にある物語を聞いていただくと、もうこの成語絶対忘れない!と納得してもらえると思いますのでまずは物語を紹介します。


物語

昔、楚国には非常に貧しい書生がいました。ある日、書生は家の中で本を読んでいると、偶然「淮南子(えなんじ、または、わいなんし)」の中にカマキリがセミを捕まえる話が書かれているのを見つけました。

「淮南子(えなんじ)」についてちょっと脱線しますと


百度より淮南子

中国語発音は [huái nán zǐ]で、前漢の哲学書です。
淮南(わいなん)の王族であった劉安とその門客(もんかく)たちが紀元前2世紀に編纂しました。21巻あります。
当時の儒家、道家、墨家、名家などの諸子百家の思想を取りまとめたもので、
天文、地理、自然科学、医学、政治、倫理、宗教、文学など多岐にわたる分野に
ついて論考が含まれています。
また、当時の中国の王朝が、統治の根拠とした儒家思想と、
霊的・超自然的な要素を持つ道家思想の融合を試みた一つの例でもあります。
劉安は紀元前179年〜紀元前122年に生きた王族で、
のちに儒家思想の地位が高まることによって劉安は謀反の罪で自殺させられています。

私も儒教とか道教とかあんまり詳しくて、もっと勉強しないといけないなと思うんで、これ以上深堀りはできないんですが、

まあ、われわれ中国の武侠ドラマが大好き勢にとっては、道教で言われている仙人とか、人が空飛んだりとか、内功を鍛えようとか聞くと
ドラマ「陳情令」に出てくる魏无羡や蓝忘机が頭の端っこに思い浮かんで
ああ、はいはい、わかるわかる〜って感じになりますよね。

ま、余談はここまでにしておいて。本題のカマキリにもどるんですけど

その書生が読んでた淮南子(えなんじ)によると、カマキリはよく自分の身体を木の葉で覆って隠し、他の昆虫から身を隠し、狙った昆虫を捕まえるそうなんです。

それを読んだ書生は、カマキリすごない?
てか、その葉っぱすごない?

もし人間がその神秘的な葉を手に入れることができたら、
自分の身を隠してやりたい放題じゃないか。
自分が欲しいものを手に入れられるじゃないか、と思ったわけです。

完全な勘違いなんですけど。
あなたはカマキリなんですか?っていう話なんですが。

この書生って読んでる本は賢い本なのに、なんでこう自分都合で解釈しちゃったのか、謎です。

書生はすぐに興奮し、貧しい家庭の状況を見て、
絶対にその神秘の葉を手に入れてやると、
急いで村の外にある大きな木の下に走って行きました。

ちょうどその木の高いところに、カマキリが蝉を捕まえているのを見つけました。

書生はつま先立ちで、カマキリの身体を覆っている葉を取ろうとしましたが、
そこへ風が吹きつけ、その「神秘の葉」が
他の葉と一緒に地面に落ちてしまいました。
しょうがないので、彼は破れたかごを持ってきて、
すべての葉っぱを詰め込みました。

かごを背負って家に戻った書生は、一枚の葉っぱを手に取って、
自分の目の前を遮りながら妻に尋ねました。


「私が見えていますか?」

妻は「見えます」と答えました。

奥さんびっくりしたでしょうね。

書生はまた別の葉っぱを手に取り、自分の目の前を葉で隠しながら、
同じ質問を妻に尋ね続けました。

「私が見えていますか?」

妻は「見えます」と言いました。

書生は全く落胆せず、かごの中の葉っぱを一つ一つ試していきました。
妻は彼の質問にうんざりし、ついに彼に嘘をついて

「あなたが見えなくなりました」と言いました。

書生は妻の答えを聞いて、ついに自分は伝説の神秘の葉を手に入れたと思い込みました。


そして、市場に行って、その葉で自分の目の前を隠しながら、人のものを盗み始めました。
市場の人たちもまたびっくりしたでしょうね。

男が一枚の葉っぱを持って、目の前を隠しながら、窃盗行為って。
待って待って待ってってなりますよね。

だから当然ながら市場の人たちも怒って、衙役(がえき)を呼んで
書生を縛り上げました。
衙役というのは、中国語で衙役(yá yi)と発音します。
なんの役職だろうと思って調べてみたんですが、
衙役は役所の使いっ走りと書いてて、身分は様々で一般市民より低い身分もあるそうです。
人を逮捕したり、看守役だったり、令状を運んだりする仕事をしていたそうです。

で、カマキリ男は県官(けんかん)のところに連れていかれます。
中国語では县官xiànguānという。
県官は、いわゆるいまの県知事にあたる役職だそうなんですが、
県官は書生になぜ物を盗んだのかと問いました。
書生は事の経緯を話し、県官は笑い転げました。
一枚の葉っぱに迷信し、誰も彼を見ていないと思い込んでいたのか?
とても愚かだと思った県官は、
彼を罰することなく無罪放免。

カマキリ男は無罪放免になったわけなんですね。

私個人的には奥さんが可哀想って思いましたけど。

みなさん、どうですか?

成語って意味だけを覚えればいいのかなと思っていたけど、私記憶力がなくて、覚えるだけの勉強って全然できないんですよね。

でもこのカマキリ男を思い出せば「一叶障目,不见泰山」が簡単に覚えられちゃったので、ストーリーと一緒に覚えるのっていいなーと思いました。

もし今日の成語が面白かった、他にも聞きたいと思ってくださった方は
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<百度より抜粋>

“一叶障目,不见泰山”本义是一片树叶挡住了眼睛,连面前高大的泰山都看不见;比喻为局部现象所迷惑,看不到全局的整体,也比喻目光短浅;在句中一般充当宾语、分句;含贬义。

日本語訳

「一叶障目、不見泰山」とは、本来、目の前にそびえる大きな泰山ですら見えなくなるほど、一枚の葉っぱが目を遮ってしまった状態を表しています。これは、局部的な現象にとらわれて全体像を見ることができない、または視野が狭いことを比喩的に表現したものであり、文中では通常目的語や分句として用いられ、軽蔑的な意味合いを含みます。

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