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戦略設計に効く、メディア資産の書き出し分析

こんにちは、株式会社キメラと申します。
私たちはパブリッシャー(出版社・新聞社・放送局)に対し、メディアビジネスをグロースするための課題解決やデジタル化を支援しているスタートアップです。2019年1月に活動を始めて以来、国内50を超えるメディアにサービスを提供しています。noteでは戦略設計とサブスクリプションを中心にパブリッシャーに役立つコンテンツを掲載しています。

今回はパブリッシャーの戦略設計に活きてくるメディア資産の把握とかんたんな分析についてお伝えします。

みなさんは事業について検討するとき、「どんな商品設計にしようか」「どんな方向性でサービスを構築しようか」と悩むことはありませんか。「ゼロから新しい何かを生み出さなければいけない」と考える方もいるかもしれません。

しかし、パブリッシャーに限らず、成功を収めたイノベーションの多くは、まったくのゼロからではなく自社がすでに持っている強み、資産、資源を活かして事業を作っています

例えばアマゾンも、当初は「オンライン書店」でした。しかし、書店時代からの「品揃え」と「商品の探しやすさ」という強みを育てたことで、数億点の商品を販売する超巨大なECサイトに成長しました。

パブリッシャーにおいても、すでに既存のビジネスモデルで培ってきた強みと資源を活かすことで、その会社らしさを発揮する事業づくりをすることができます。

メディア価値の源泉となる有形・無形の資源

あらゆる企業は、資産・資源を持っています。これをビジネスの場では「アセット」と呼ぶことがあります。言葉自体は証券や不動産などの金融資産を指す際に使われることが多いですが、ここでは「企業が価値を生み出す源泉となる資源」と定義します。

情報という無形の商材を扱うパブリッシャーも例外なく、その価値を支える莫大なアセットを保有しています。提供するコンテンツはもちろんのこと、その制作を支える体制や、読者に届けるための手段、そして築き上げてきた媒体ブランドもアセットです。また、メディア事業だけでなく、関連サービスやグループ企業の存在も、メディアの提供価値を増幅する心強いアセットです。

たとえば、パブリッシャーが持つ主なアセットはこのようなものが挙げられます。

メディアの価値の源泉となる有形・無形の資源
・メディアブランド
・独自性の高いコンテンツ
・熱心な読者
・企業や有識者とのコネクション
・会員組織
・編集組織
・読者との接点(誌面・ウェブサイト・メルマガ・SNS・販売店舗など)
・コンテンツ制作体制

アセットからは、自社がこれまでどのような価値を提供することに投資してきたのかが見えてきます。つまり、アセットを把握することは、自社の「力点」や「強み」を知ることにつながるのです。

では具体的に、自社の持つアセットを把握するにはどうすればいいのか。ここからはその手法と簡単な分析の仕方を紹介します。社内ワークショップのコンテンツとしてもおすすめです。

自社の持つアセットを把握する方法

方法としてはシンプルです。1. 書き出して、2. グルーピングし、3. どう事業に活かせるか評価するだけです。

1. アセットを書き出す

まず、自社が持っているアセットを書き出してみましょう。付箋やオンラインアンケートを使い、頭に浮かんだ要素をとにかく挙げていきます。

付箋を使う場合は、ひとつのアセットにつき、1枚の付箋を使うと、あとあとのグルーピングに便利です。とにかく数を出すためプレッシャーをかけず無記名で書き出します。正解はありません。どんどん書き進めてください。

ポイントは、要素を具体化することです。サービスや施設・設備をアセットとして挙げるなら、なるべく固有名詞にしましょう。例えばコンテンツの場合は、「経済記事」「コラム」などの大まかなカテゴリーではなく、「購買行動を左右する製品レビュー記事」「中崎マコトの今日もごはんがおいしきゃマル!」など、その内容や連載名まで落とし込めるとよいでしょう。

ブランドなどの定性的な要素をアセットとして挙げるなら、「信頼感」とだけ書くのではなく「地元に密着した情報に対する信頼感」など、その背景を噛み砕いてみましょう。「個人的にそう思う」という仮説で構いません。

ワークショップで行なう場合は、グループワークで時間制限(10〜15分)を設け、「できるだけたくさん書いてほしい」などと促すと、活発にアイデアが出やすくなります。

2. アセットを集約・グループ化する

書き出したアセットのうち、重複する要素を集約します。付箋を使った場合は、重複した内容の付箋を上に重ねるとよいです。その後、近い内容のアセットを集めてグループ化します。グループは「コンテンツ」「読者接点」「ブランド認知」など、含まれるアセットをひとことで言い表せるものにします。

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アセットの集約とグループ分けを行うと、どんな要素が多く挙がっているかが可視化されてきます。自分たちがどんなアセットに目が向きやすいかの傾向を可視化し、無意識のうちに持っていた価値観を理解しやすくなる利点もあります。

3. アセットを評価する

そして、挙げたアセットひとつひとつが、事業においてどんな役割を満たすかを評価します。

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ひとつのアセットに複数の要件が当てはまる場合もあれば、ひとつも当てはまらないアセットもあるはずです。付箋を使う場合は、付箋にカラーペンなどで色分けした印をつけると分かりやすくなります。

評価したアセットを見渡しながら、これらの項目をチェックしてみてください。簡易的に自社の強みが分析できるはずです。

・多くの要件が当てはまったアセットは?=具体的な強み
・要件が当てはまるアセットが、たくさん集まっているグループは?=自社の「花形」領域
・要件が当てはまる割合は高いのに、アセットそのものの数が少ないグループは?=伸びしろが期待できる領域
・アセットの数が多いのに、要件が当てはまらないグループは?=テコ入れが必要かもしれない領域

「青い鳥」はそばにいるかもしれない

あなたの会社のアセットはうまく把握できそうでしょうか? ゼロから何かを生み出そうとせずとも、童話『青い鳥』の結末のように、あなたの会社にも将来の主力事業のタネはすでに転がっているかもしれません。ぜひ、いま一度、自社の強みに目を向けてみてはいかがでしょうか。

アセットが把握できたら、次はそれを活かしたマネタイズの方法も合わせて知っておきましょう。

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私たちキメラはメディアのサブスクリプション導入や事業計画づくりをご支援している企業です。「メディアのマネタイズを検討している」「もっと詳しい話を聞きたい」という企業様は、ぜひお気軽にキメラまでお問い合わせください。

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公式サイト:https://ximera.co.jp/
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