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イケボ配信者と戦う

競合他社、という概念がある。

お客様と言う名のパイを奪い合う存在。その市場における強者がなぜ強者であり、どのように勝っているのか。その研究は常に刺激的で、ぼくのこの仕事ともなんともいえない活動に色々な影響を与えてくれる。

実は僕はこっそりツイキャスをやっている。有名なジャズばっかり聴いてないでもっといいのがあるよ、こういうもっと売れてもいいのに売れない本物のミュージシャンがいるんだよということを訴えたくて、喫茶という名義で雑談をしている。

のだが、実はリスナーこそいれどもジャズを知りたいファンはそのうち半分しかいない。残り半分はぼくのファンか、若い男としゃべりたい少数の物好きである。そしてこの「若者としゃべりたいというほぼ言ってしまえば性欲」がツイキャスの潜在的なエネルギーの結構な割合を占めていると言っても過言ではないのだ。

これはツイキャスに限らずどこの配信アプリでもそうだが、僕は人気配信者が人気である理由が「なんかエロいから」であるという真理を見つけてしまった。そんなことないという声があらゆる方面から上がってくるかもしれない。しかしこのランキングを見てほしい。

ついきゃす界の天竜人

まず共通しているのはアングラ感だ。知る人ぞ知る穴場であることが求められるのかもしれない。古き良き日本のインターネットを彷彿とさせるのは僕の思い違いではないと信じたい。ツイキャス自体がそこまでメジャーな配信アプリでもないので、オタクの拠り所であることは間違いないだろう。

そしてまた「光属性配信者」も出入りは少ないが確実にいることによりツイキャス界隈の治安は保たれている。また、最上位勢のうち50%くらいはイケメンorイケボ(かつちょっとリアルでもそのへんにいてだいぶ頑張ったら話しかけられるかもしれないタイプ)であるのがお分かり頂けるだろうか。

そして下位、この画面に収まりきらない一般的な「ツイキャス上位勢」がどんな人達かというと、なんかよくわからんけどエロい。見たことはないがそこはかとなくアイコンとペンネームと自己紹介がエロいのである。直接的な表現はないが、しかしなぜかユーザになにがしかの夢を想起させるような、なんともいえないにほひがしてならないのだ。もはやTOP3に来ているのは「私は性欲の解消のために番組を視聴しているわけではありません」という古参ユーザの意思表明にすら感じるのだ。

そう考えると、上位3人が「闇の化身」のようなアイコンと出で立ちをしているのは、ツイキャスを視聴するユーザが「今、自分にとって少しだけ背徳的な現実逃避をしている」という潜在的な認識をしていて、鏡像としてこれらのアイコンはうまく作用しているのではないだろうか。

それはいいとして何が言いたいかというと、

ジャズを聴いてもらうにはこいつらに勝たねばならないのである。源氏名でもつけたらいいだろうか。それとも、長時間配信してなんだかわからない意味のあるかもわからないおしゃべりを延々と続ければいいのだろうか。そんな暇は僕にはない。ともすれば、やはり源氏名をつけるしかない。

小鳥遊凪…とかにしとけばいいか。
神来社みくる…とかもいい。
蓼丸夏樹…とかもかっこいいな。

なにをしているんだろう僕は。


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