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紅茶パルプまとめ

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つのが書いた「紅茶パルプ」作品(2018年11月-12月)のまとめとかです。
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#マッドティーパーティー

アフタヌーン・ティー

(これが「ティー」か……煎じ薬みたいだな) テーブルの並ぶ喫茶室。黒髪の青年は、ティーカップを手にして香りを嗅ぐ。いい香りだ。葡萄酒や麦酒より刺激は少ないが、酔っ払うことはなさそうだ。毒味をする前に、周囲を見回す。 「こりゃ何だ?」 「ああ……角砂糖だよ。シュガー。甘い粉末状のものを固めてある。紅茶の中に入れて、溶かして、かき混ぜて飲む」 「へえ……すげェな。イスパニアのカリフはともかく、フランクの王様の食卓にもなかなかねェぞ。たぶん」 金髪で傷顔の男が、白くて四角いも

【これまでのあらすじ】三宅つの、紅茶パルプを書く。

おれだ。もう知ってるだろうが、noteでは11月1日の「紅茶の日」にあわせて、「紅茶のある風景」というタグでそういう作品(エッセイ、小説、イラスト、漫画など)を募集している。12月2日までだ。賞金と賞品も出る。 ハッシュタグをジャラジャラつけていると、そういうのも目には入る。どうせハイソなバターコーヒー野郎どもが紅茶にバターを入れて喜ぶような集まりだろう。おれはそう思って、特に興味も抱かずにいた。 だが……なんたることか、逆噴射小説大賞が終わった10月31日、ハロウィンの