ドーモ、三宅つのです。これはニンジャスレイヤーTRPGの「ミニシナリオ作成ガイド」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意下さい。

　賞金首ニンジャを討伐ないしスカウトするミッションです。作成直後のサンシタチームが挑むことを想定していますが、難易度は調整できます。

　賞金首たちのうちアイスティーラー、カルネイジ、ハイウェイローニンは倒されましたし、ランドシャークは作成ガイドが出る前にザイバツニンジャとしてソウカイヤに倒されています。となると残るはプラズマリザード＆トリガーハッピーか、ツインテイルズとなりますね。最近スレイトにも出ましたし、ツインテイルズをPC側にしてみましょう。彼女がプラズマリザードたちにアジトを追い出され、復讐するという筋書きです。

◆ツインテイルズ（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　２　　　　体力　　　　　　　　３
ニューロン　　　　　４　　　　精神力　　　　　　　４
ワザマエ　　　　　　６　　　　脚力　　　　　　　　４/Ｅ
ジツ　　　　　　　　２　　　　万札　　　　　　　　５

攻撃/射撃/機先/電脳　　２/　６/　４/　４
回避/精密/側転/発動　　６/　６/　６/　６
即応ダイス：５　緊急回避ダイス：０

◇装備や所持品
◆**フエ・オブ・ツインテイルズ**（レリック）　シナリオ中１回限り使用可能
　精神力１消費しワザマエ判定UH、成功するとスウォーム・ジツLV１発動

◇ジツやスキル
☆ネコ・ニンジャクラン、ジツLV２
　☆スウォーム・ジツLV２：手番攻撃時に精神力１消費し発動（N）
　　隣接３×３マス、ないし術者を中心とする３×３マスの範囲内の敵全員に攻撃
　　敵１体ずつにつきD６を振り、出目５以上なら１ダメージ（回避H）
　　範囲内から手番開始ないし移動終了した敵は能動行動難易度＋１、攻撃集中不可
　　術者は手番開始時にスウォームを維持可能（維持中は他のジツの発動難易度＋１）
　　　術者のニューロンの半分まで中心点を動かせ、同じダメージを与える
　　２個のスウォームを同時に操ることはできず、全範囲を覆う攻撃を食らうと取り除かれる
　☆◉野良猫の主：アジトで戦う限り、最初のスウォーム・ジツを精神力消費なしで自動発動
　　スウォーム維持中も他のジツの発動難易度が上昇しない
　☆◉レッサー・ゼゲン・ジツ：精神力１消費し発動（N）
　　隣接敵１体はニューロン値で対抗判定し、失敗すればモータルなら戦闘不能、
　　ニンジャなら戦闘終了まであらゆる判定難易度＋１（重複なし）
◉常人の三倍の脚力：脚力＋１、側転難易度－１

能力値合計：１６

　元データを整理するとこうなります。まあまあの強さですが、ニュービーに毛が生えた程度で、サンシタニンジャ二人組には勝てそうにありません。アジトで敵対する時はミニオンとして2頭のメキシコライオンを率いていますが、代わりにPCが仲間に加わったとすればいいでしょう。

　しかし、つの次元のソウカイニンジャはどいつも手練れになりましたし、ストリートニンジャ同士の縄張り争いなど暗黒メガコーポが関わる案件でもありません。ネオサイタマのストリートニンジャで、そこそこ弱くて、彼女と相性が良さそうなやつというと……彼らがいました。

◆ジェシー/キルトゥース（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　２＞４　　　　体力　　　　　　　　２＞４
ニューロン　　　　　３＞４　　　　精神力　　　　　　　３＞４
ワザマエ　　　　　　４　　　　　　脚力　　　　　　　　２/Ｎ
ジツ　　　　　　　　０　　　　　　万札　　　　　　　１６＞０
ＤＫＫ　　　　　　　３　　　　　　名声　　　　　　　　２

攻撃/射撃/機先/電脳　　５/　４/　５/　６
回避/精密/側転/発動　　５/　４/　４/　０
即応ダイス：４　緊急回避ダイス：４

◇装備や所持品
▶テッコLV１：カラテ判定と回避＋１
▶生体LAN端子LV１：ニューロン判定＋２、イニシアチブ＋１
◆ストリートニンジャ装束：緊急回避＋４、脚力ダメージ軽減１
◆LAN直結型ハンドガン：連射２
　●論理射撃：集中時にニューロンで射撃、時間差・マルチ獲得

◇スキル
◉魅了：ニューロン＋ジツで発動（N）　精神攻撃
　６マス以内の視線の通ったモブモータル１体を無力化　出目６６でもう１体
○生い立ち：キング・オブ・アーケード
◉知識：独立小組織
◉狂気：暴走するプロ意識

能力値合計：９＞１２

◆ソール/シャープフィンガー（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　３＞４　　体力　　　　　　　　５＞６
ニューロン　　　　　３＞４　　精神力　　　　　　　３＞４
ワザマエ　　　　　　３＞４　　脚力　　　　　　　　２/Ｎ
ジツ　　　　　　　　０　　　　万札　　　　　　　１６＞０
ＤＫＫ　　　　　　　３　　　　名声　　　　　　　　２

攻撃/射撃/機先/電脳　　４/　６/　５/　６
回避/精密/側転/発動　　４/　５/　５/　０
即応ダイス：４　緊急回避ダイス：４

◇装備や所持品
▶サイバネアイLV１：ワザマエ判定＋１、射撃時さらに＋１
▶生体LAN端子LV１：ニューロン判定＋２、イニシアチブ＋１
◆ストリート装束：緊急回避＋４、脚力ダメージ軽減１
◆LAN直結型ハンドガン：連射２
　●論理射撃：集中時にニューロンで射撃、時間差・マルチ獲得
◆キーボード・オブ・ザ・ゴールデン・エイジ（レリック）
　シナリオ中１回だけ、ハッキング判定の全ダイス振り直しを行える

◇スキル
◉頑強なる肉体：体力＋２
○生い立ち：ローグハッカー
◉知識：独立小組織、テックガジェット、旧世紀地下道網

能力値合計：９＞１２

　能力値と装備は同じですが、サイバネやスキルが異なるので差別化はできます。三人揃えばなんとかなるでしょう。では、始めます。

◆◆◆

序

　ネオサイタマ、キララ・ストリート。ウシミツ・アワー。輝くような響きの名とは裏腹に、ここの治安と衛生状態はツチノコ・ストリートに勝るとも劣らぬほど悪い。その路地裏に潜んでいた女は、周囲を警戒しながら、震える手で手巻きのハッパに火を灯し、口にくわえた。スゥーッ……ハァーッ。

「うんめえニャー……！」彼女はプルプルと震えつつ涙を流し、小声でそう呟いた。彼女の名はツインテイルズ。住所不定の薄汚い路上生活パンクスであり、野良ニンジャであり、重度のハッパ中毒者だ。数日前はこのストリートに棲む野良猫たちの支配者であり、メキシコライオンすら手懐けていた。

　だが、彼女の王国は滅ぼされた。「ウォーヘッド・カンパニー」と名乗る三人組の野良ニンジャによって。彼女は手懐けた二頭のメキシコライオン「チャベス」と「ブランコ」を率い、ジツとカラテによって応戦した。激しいイクサの末、ボスのウォーヘッドはメキシコライオンたちに殺された。

　しかし、直後にウォーヘッドの手下「プラズマリザード」と「トリガーハッピー」の攻撃を受け、チャベスとブランコは倒された。ツインテイルズ自身も傷を負い、報復にファック＆サヨナラされそうになったところを、レッサー・ゼゲン・ジツによって相手の気をそらし、逃げ出したのだ。

　彼女はハッパの煙にむせながら涙を流す。多くの仲間を失った。チャベスはギャング組織に捨てられた片眼の殺人ライオンで、ブランコは前脚をサイバネ化したアルビノライオン。ともに自分より強く、雄々しく、勇ましい奴らだった。共に戦ってくれた野良猫たちも……「復讐、してやる！」

　ツインテイルズは涙を拭い復讐を誓う。だが単独では無理だ。相手はサンシタとはいえニンジャ二人で、クローンヤクザやスモトリヤクザ、オイランドロイドも率いていた。どこかのヤクザクランを乗っ取ったのだろう。背後にソウカイヤとかザイバツといった暗黒ヤクザ組織がいるかも知れない。

　ニンジャを雇うしかない。手元にそんなカネはないが、自分なりに情報を集めたところ、やつらにはそれなりの賞金がかかっている。賞金首を狙うニンジャがいるかも知れない。そいつらと協力すればいい。ソウカイヤとかに頼ってもいいが、スカウトされてこき使われることになり、面倒だ。

ダンゴウ

　……数時間後。IRCで賞金稼ぎの傭兵ニンジャを募集したツインテイルズは、路地裏で二人の少年ニンジャと向き合っていた。少年とはいえニンジャであり、モータル時代からネオサイタマで傭兵として生きてきたという。なかなかの面構えである。ツインテルズは必死で事情を伝え、頼み込んだ。

「そーゆーわけで、ヨロシクオネガイシマス！」彼女は二人の少年ニンジャに深々とオジギした。彼らの名はキルトゥースとシャープフィンガー。ともに最近ニンジャになったばかりで、ソウカイヤのニンジャ・サンセットを殺してしまったため、追われる身となっている。カネは必要だ。

「いいぜ」「ああ」二人は承諾した。「アリガトゴザイマス！」ツインテイルズは再びオジギした。「賞金と戦利品は三等分。私も戦う！」「人数にもよるが、まあなんとかなるだろ。ダメそうだったら逃げるぜ。ハンコもねェしよ」シャープフィンガーは薬物タバコを吹かしながら値踏みする。

「私は必死！チャベスとブランコたちのアダウチのイクサだよ！」「俺らには直接関係ねェしなァ」「請け負ったからにはきっちりやるぜ」キルトゥースは胸を叩いた。「プロとしての信頼に関わるからな」「アイアイ。まあストリートで名前を売っとけば、ソウカイヤとかからも一目置かれるかな」

　シャープフィンガーも頷く。ソウカイヤのニンジャを殺したとはいえ、明確に組織そのものに敵対したわけではない。スカウトが来れば所属してやってもいい。後ろ盾は大事だ。傭兵ニンジャとしてやっていくにも信頼と名声が必要となろう。「そんじゃ、準備が出来次第カチコミニャー！」「了解」

　ツインテイルズからの情報と、シャープフィンガーによる事前調査によれば、プラズマリザードとトリガーハッピーは無所属の無法者ニンジャだ。モータルの時から常に二人組で行動し、銀行強盗や営利誘拐などの非道犯罪行為を繰り返している。その行動は無計画で杜撰、それゆえに残酷だ。

「ソウカイヤとかとの繋がりはない？」「ああ。『ウォーヘッド・カンパニー』ってのも、その死んだボスが名乗ってただけらしい。どこかの零細ヤクザクランを乗っ取って、クローンヤクザやスモトリヤクザ、オイランドロイドを配下におさめてたが、ハイデッカーに追われて流れて来たってよ」

「ハイデッカー……あの変なマッポどもか」キルトゥースは眉根を寄せる。オナタカミ・トルーパーとも呼ばれる軍隊じみた特殊警察部隊だ。最近ネオサイタマに急速に広がり、治安維持活動を行っている。カチグミにはありがたいのだろうが、ストリートの住人には面倒な相手だ。「共食い狙いか？」

「そいつらが乗っ取った私のアジトは、スラム街の廃ビルの一角。近隣のアウトローたちも恐怖で支配してて、このままじゃストリート全体が奪われてしまう……急がないと！」ツインテイルズは拳を握った。「情報は以上だ。それじゃ行くとするか」「OK！」「ヤッテヤルニャー！」作戦開始！

廃ビル

　三人は準備を整え、問題の廃ビルに近づく。ツインテイルズにとっては勝手知ったる我が家だ。猫たちは逃げ散ってしまったが、フーリンカザンはあると言えよう。「さて……密かに潜入するか？それとも、堂々と正面から行くか？」「ボスの部屋に潜入しても、どうせ手下どもが来るだろ」「だな」

◆クローンヤクザY-12型（種別：モータル/バイオ生物/クローンヤクザ）×５
カラテ　　　　　　　２　　　　体力　　　　　　　　１
ニューロン　　　　　１　　　　精神力　　　　　　　１
ワザマエ　　　　　　３　　　　脚力　　　　　　　　２
ジツ　　　　　　　　－　　　　万札　　　　　　　　１

攻撃/射撃/機先/電脳　　２/　３/　１/　１

◇装備や特記事項
◆ドス・ダガー
◆チャカガン（１体はショットガン）

能力値合計：６

　アジトの周囲には、五人のクローンヤクザが見張りに立っている。うち一人はショットガンを装備し、他の四人は通常のチャカガンやドス・ダガーで武装している。まずはあれを排除しなくてはなるまい。

戦闘開始

1ターン目

　キルトゥースとシャープフィンガーは物陰から敵を狙い、LAN直結型ハンドガンで論理射撃！「「TAKE THIS！」」BLAMBLAMBLAMBLAM！「「「「アバババーッ！」」」」四人射殺！「イヤーッ！」ツインテイルズはスリケンを投擲！「アバーッ！」命中！クローンヤクザ全滅！

「ヨシ！」ツインテイルズは指先確認し、倒れたヤクザたちから金目のものを漁る。「後にしろや」「分け前は三等分だぜ」「わぁってるニャ」だが銃声や断末魔の声を聞きつけ、アジトは警戒態勢に入る！「ドッソイ！」「ドカマテッパダラー！」増援が駆けつける！スモトリ崩れの巨大ヤクザだ！

◆スモトリヤクザ（種別：モータル/スモトリ/ヤクザ）×２
カラテ　　　　　　　３　　　　体力　　　　　　　　４
ニューロン　　　　　１　　　　精神力　　　　　　　２
ワザマエ　　　　　　２　　　　脚力　　　　　　　　２
ジツ　　　　　　　　－　　　　万札　　　　　　　　３

攻撃/射撃/機先/電脳　　３/　２/　１/　１

◇装備や特記事項
◉突撃：脚力の２倍直進移動し、直後の攻撃に痛打＋１

能力値合計：６

2-3ターン目

　キルトゥースとシャープフィンガーは物陰から敵を狙い、LAN直結型ハンドガンで論理射撃！「「TAKE THIS！」」BLAMBLAMBLAMBLAM！「ドッソイアバーッ！」一人射殺！「イヤーッ！」ツインテイルズはスリケンを投擲！「グワーッ！」命中！だがスモトリヤクザはタフだ！一撃では死なぬ！

「ドッソイオラー！」シャープフィンガーめがけ突進！殺人ハリテを繰り出す！「イヤーッ！」難なく回避！キルトゥースはスモトリヤクザに視線を向け、ニンジャアトモスフィアを放つ！「イヤーッ！」「グワーッ！？」スモトリヤクザはニンジャリアリティショック（NRS）を発症して昏倒！

戦闘終了

「ヨシ！」ツインテイルズは指先確認し、倒れたスモトリヤクザたちから金目のものを漁る。「後にしろや」「分け前は三等分だぜ」「わぁってるニャ」アジトから増援が来る気配はない。オイランドロイドもいるはずだが、これでかなりの戦力を削った。だが最も恐るべきは二人のニンジャだ！

【続く】

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