ドーモ、三宅つのです。これは古矢沢＝サンのシナリオ案「ア・キャット・アンド・ア・ドッグ」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意下さい。

　成長の壁を2-3個超えた程度のPC3人が挑むことが想定されていますが、調整も可能でしょう。本日は猫の日かつニンジャの日ですので、1年ぶりにこのチームの出番です。

◆ツインテイルズ（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　２＞３　　体力　　　　　　　　３
ニューロン　　　　　４＞５　　精神力　　　　　　　４＞５
ワザマエ　　　　　　６　　　　脚力　　　　　　　　４/Ｅ
ジツ　　　　　　　　２　　　　万札　　　　　　　２４＞１
ＤＫＫ　　　　　　　０　　　　名声　　　　　　　　２＞３

攻撃/射撃/機先/電脳　　３/　６/　５/　５
回避/精密/側転/発動　　６/　６/　６/　７
即応ダイス：５　緊急回避ダイス：４

◇装備や所持品
◆**フエ・オブ・ツインテイルズ**（レリック）　シナリオ中１回限り使用可能
　精神力１消費しワザマエ判定UH、成功するとスウォーム・ジツLV１発動
◆ストリートニンジャ装束：緊急回避＋４、脚力ダメージ軽減１
◆トロ粉末：精神力２回復（使い捨て）

◇ジツやスキル
☆ネコ・ニンジャクラン、ジツLV２
　☆スウォーム・ジツLV２：手番攻撃時に精神力１消費し発動（N）
　　隣接３×３マス、ないし術者を中心とする３×３マスの範囲内の敵全員に攻撃
　　敵１体ずつにつきD６を振り、出目５以上なら１ダメージ（回避H）
　　範囲内から手番開始ないし移動終了した敵は能動行動難易度＋１、攻撃集中不可
　　術者は手番開始時にスウォームを維持可能（維持中は他のジツの発動難易度＋１）
　　　術者のニューロンの半分まで中心点を動かせ、同じダメージを与える
　　２個のスウォームを同時に操ることはできず、全範囲を覆う攻撃を食らうと取り除かれる
　☆◉野良猫の主：アジトで戦う限り、最初のスウォーム・ジツを精神力消費なしで自動発動
　　スウォーム維持中も他のジツの発動難易度が上昇しない
　☆◉レッサー・ゼゲン・ジツ：精神力１消費し発動（N）
　　隣接敵１体はニューロン値で対抗判定し、失敗すればモータルなら戦闘不能、
　　ニンジャなら戦闘終了まであらゆる判定難易度＋１（重複なし）
◉常人の三倍の脚力：脚力＋１、側転難易度－１

能力値合計：１６＞１８

◆キルトゥース（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　４　　　　　　体力　　　　　　　　４
ニューロン　　　　　４　　　　　　精神力　　　　　　　４
ワザマエ　　　　　　４＞６　　　　脚力　　　　　　　　２＞３/Ｎ
ジツ　　　　　　　　０　　　　　　万札　　　　　　　２０＞２
ＤＫＫ　　　　　　　３　　　　　　名声　　　　　　　　２＞３

攻撃/射撃/機先/電脳　　５/　６/　５/　６
回避/精密/側転/発動　　７/　６/　６/　０
即応ダイス：４　緊急回避ダイス：４

◇装備や所持品
▶テッコLV１：カラテと回避＋１
▶生体LAN端子LV１：ニューロン＋２、イニシアチブ＋１
◆ストリートニンジャ装束：緊急回避＋４、脚力ダメージ軽減１
◆LAN直結型ハンドガン：連射２
　●論理射撃：集中時にニューロンで射撃、時間差・マルチ獲得

◇スキル
◉魅了：ニューロン＋ジツで発動（N）　精神攻撃
　６マス以内の視線の通ったモブモータル１体を無力化　出目６６でもう１体
○生い立ち：キング・オブ・アーケード
◉知識：独立小組織
◉狂気：暴走するプロ意識

能力値合計：１２＞１４

◆シャープフィンガー（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　４　　　　体力　　　　　　　　６
ニューロン　　　　　４＞６　　精神力　　　　　　　４＞６
ワザマエ　　　　　　４＞５　　脚力　　　　　　　　２＞３/Ｎ
ジツ　　　　　　　　０　　　　万札　　　　　　　２０＞２
ＤＫＫ　　　　　　　３　　　　名声　　　　　　　　２＞３

攻撃/射撃/機先/電脳　　４/　７/　７/　８
回避/精密/側転/発動　　６/　６/　６/　０
即応ダイス：４　緊急回避ダイス：４

◇装備や所持品
▶サイバネアイLV１：ワザマエ＋１、射撃時さらに＋１
▶生体LAN端子LV１：ニューロン＋２、イニシアチブ＋１
◆ストリート装束：緊急回避＋４、脚力ダメージ軽減１
◆LAN直結型ハンドガン：連射２
　●論理射撃：集中時にニューロンで射撃、時間差・マルチ獲得
◆キーボード・オブ・ザ・ゴールデン・エイジ（レリック）
　シナリオ中１回だけ、ハッキング判定の全ダイス振り直しを行える

◇スキル
◉頑強なる肉体：体力＋２
○生い立ち：ローグハッカー
◉知識：独立小組織、テックガジェット、旧世紀地下道網

能力値合計：１２＞１５

　誰も成長の壁を超えていませんし、敵も弱めにします。では、始めます。

◆◆◆

序

　ネオサイタマ、キララ・ストリート。2頭のメキシコライオンの毛皮が壁に飾られたアジトで、女ニンジャ・ツインテイルズは手巻きのハッパに火を灯し、口にくわえた。スゥーッ……ハァーッ。「らはー……」ハッパがキマった彼女は手を伸ばし、合成オハギをパクついた。「あんめえニャー……！」

　その傍らでは、二人の少年ニンジャが銃やサイバネの手入れをしている。キルトゥースとシャープフィンガーだ。彼らはひょんなことでツインテイルズに雇われ、彼女のアジトを仮のねぐらとすることにした。しかし……「そろそろ手持ちのカネも尽きて来たな。稼ぎに行こうぜ」「ああ」「マッタ」

　ツインテイルズは引き止めた。「あ、あんたたちがどこか行ったら、私の身が危険ニャ！もう少し」「継続して雇用するんなら、カネを払えよ。俺たちは傭兵だぜ」「家賃は入れてねェし、食い扶持も自分で稼いでるからな。あんたも稼いで来いや」「ニャッハイ」二人は居候ではなく、護衛なのだ。

　幸い彼らはツインテイルズに手を出すこともなく、今のところはある種の共存関係が成り立っている。しかし、そこまで親しい間柄でもない。何かビズを見つけてきてともに解決しカネを稼ぐしかないが、ツインテイルズは荒事は苦手だ。IRC端末でビズを探そうとした、その時。「アイエエエ！」

？？？

　アジトの入り口に、老婆が血相を変えて駆け込んできた。近所に住む浮浪者のオハナ＝サンだ。「アイエエエ！タスケテ！」「どうしたニャ？」ツインテイルズは訝しんだ。「ね、猫だ！バイオ水牛めいた巨大な黒猫が出た！そいつがさっき、たくさんの猫を連れてストリートを駆け抜けて行った！」

　オハナ＝サンは這々の体でツインテイルズのとこまで駆け寄り、勝手にハッパを吸い始めた。「なんだそりゃ。ラリってンのか？」キルトゥースも訝しんだ。「バイオ生物の暴走、とかか？」シャープフィンガーは否定せず、有り得そうな事態を想定した。ネオサイタマでは稀に良くある事態だ。

　だとすると、ストリートの住民が危険に晒される。退治してもカネになりそうにもないが、ツインテイルズが手なづけて護衛につければ、ここを引き払うこともできるだろうか。「うーん……」ツインテイルズは首を傾げた。

　ツインテイルズは近くにいた猫に話しかけた。「巨大な黒猫の噂、聞いたことある？」「ミャオ」猫はうなずいた。オハナ＝サンは驚く。「あんた、猫と会話できるのかい？」「なんとなく」……猫同士のネットワークで情報を収集したところ、それらしい存在が浮上した。近隣の新興野良猫集団だ。

　最近このストリートの外では、治安維持警察「ハイデッカー」の動きが活発化し、犯罪者や浮浪者、野良猫や野犬の掃討作戦が行われているという。キョート共和国によるテロ攻撃もあったことゆえ仕方ないが、それにより彼らがこのストリートへ難民となって逃げ込んできているらしいのだ。

「一つ所へ追い込んでおいて、イチモ・ダジーンって寸法か」キルトゥースは鼻を鳴らした。「バイオ生物かなんか知らんが、そいつらも追われて来たってわけだな」シャープフィンガーが推測する。「退治するか、それとも、共闘するか」「新入りには上下関係を教えこんどかねえとなァ」「むむむ」

　ツインテイルズは合成オハギを飲み込み、安物のチャをすすった。ストリートの治安が悪化すれば自分たちも住みにくくなり、追い出されかねない。「そいつらのアジトへ行ってみよう。交渉して共闘関係を結んだ方がいい」「だな」「決まりだ」「よろしく頼むよ」オハナ＝サンは手を合わせた。

捜索開始

　3人はアジトを離れ、巨大な黒猫たちの通ったあたりを調査する。残された足跡や毛、アトモスフィアを探れば、追跡はニンジャならば容易い。しかし……3人はかすかに漂うニンジャアトモスフィアを感知し、警戒した。相手がバイオ生物でなくニンジャなら、かなり厄介なことにはなりそうだ。

　猫たちは裏路地を駆け抜け、あちこちのゴミ箱を食い漁りながら進んでいる。このあたりはツインテイルズに従う猫たちの縄張りだ。難民とはいえ、地元住民のシマを荒らされれば感情的には良くない。しかし彼らを追い込んだハイデッカーたちこそ真の敵なのだ。ツインテイルズは怒りを鎮める。

　やがて猫たちの足跡は、地下下水道へ降りていく。ネオサイタマの地下に広がる広大な迷宮だ。地上とは異なる縄張りや生態系が構築されており、そこに住み着いて自活するだけなら問題はないが、地上のシマも荒らされてはこちらが困る。地域社会の顔役にアイサツもしないのはシツレイである。

「GRRRRR……！」「GRRRRR……！」下水道の奥には横道があり、大型の野良猫たちが見張りをしている。「ドーモ」ツインテイルズは進み出てオジギした。礼儀は大事だ。「私はキララ・ストリートの野良猫たちの長、ツインテイルズ。ここのオヤブンにアイサツに来たの。手土産にマタタビも……」

　見張りの猫たちはコマイヌめいて吠え猛り、通そうとしない。言葉は通じているのかも知れないが、追い立てられて気が立っているのだ。よく見れば肉体には新しい傷跡もある。「通してくれや。オヤブンに恥かかす気か？」キルトゥースは凄むが、彼の言葉は猫たちには通じぬ！一触即発！

戦闘開始

◆ヤマネコ・ギャング（種別：危険生物）×２
カラテ　　　　　　　３　　　　体力　　　　　　　　２
ニューロン　　　　　１　　　　精神力　　　　　　　１
ワザマエ　　　　　　３　　　　脚力　　　　　　　　３/Ｅ
ジツ　　　　　　　　－　　　　万札　　　　　　　　０

攻撃/射撃/機先/電脳　　３/　－/　１/　－

◇装備や特記事項
●連続側転
●常人の三倍の脚力
●疾駆
●脆弱性：火炎（精神力２）

能力値合計：７

「手出し無用ニャ……」ツインテイルズは進み出て、マタタビ入りの手巻きハッパをくわえ、吸い、「スゥーッ……」煙を吹きかける！「ニャーッ！」BOOOM！レッサー・ゼゲン・ジツだ！「「MEOWARGHHH！」」見張り猫たちはマタタビとハッパのにおいにやられ、腹出し降参！ニャムサン！

戦闘終了

「どんなもんニャ！」ツインテイルズは勝ち誇る。見張り猫たちは白目をむき、あぶくを吹いてぐったりしている。「口臭がヤバかったんじゃねェか」「シツレイニャ！」「じゃ、行くぞ」3人は見張り猫たちを脇へ寄せ、いよいよ謎の巨大黒猫たちのアジトへと潜入する！カラダニキヲツケテネ！

【続く】

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