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真赤な使い魔

濃霧が辺りに立ち込めていた。
地面に仰向けに倒れた、白いマントの老人。立派な口髭を生やしているが、エレガントな服装は爆炎に破れて煤け、胸には穴が空き、両腕も喪われていた。全身から煙が立ち昇り始め、体が気化していく。それでも老人は自嘲気味に笑い、そばに立つ自分の子孫に語りかける。
「“蛾”は“蛾”なりに…光の周りを飛べて満足したぞ…」
「その程度で満足するから、貴様は“蝶”になれなかったんだよ」
老人と子孫は、似て非なる存在であった。たった今、子孫は老人を倒したのだ。

「…最期に一つだけ、教えてやる…貴様が蝶として、より高みへ翔ぶためのヒント…」
薄れ行く視界。自分を超えた子孫を愛おしむように、彼は遺言を残す。
「今から起こるであろう“彼”とあの少年戦士の、戦いを見逃すな…どうやら…この百年の間に、私の…知らない…動きが…あった…様だ……」
ボシュウウウウと老人の体は、周囲の白い霧と同化するように煙となる。

◇◇◇

屋内。廊下を一組の少年少女が疾走している。少女はなぜか学ランを纏い、 ボロボロになった少年は闘志を瞳に宿し、背丈ほどもある奇怪な大槍を持っていた。
「どこへ行くカズキ!」
「ここだ!」
少年はダンと床を踏みしめ、天井に槍の穂先を向けた。
「ここ?」

「エネルギー、全・開ッ!!」

彼が叫ぶや、槍の飾り布は山吹色の光となり、激しいエネルギーの奔流と化す。そして少年は天井を突き破り、建物の屋上に鎮座する機械へ突進した!
「貫けェェエエッ!!!」

「!」「!!」「!?!」
だがそこには、銀色に輝く“鏡”があった―――――!!!

◇◇◇

「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!
 神聖で、美しく、生命力に満ち、そして強力な使い魔よ!
 私は心より求め、訴えるわ! 今度こそ、わが導きに応えなさい!」

ルイズの召喚はもはや七十回目に到達していた。激しい土煙の中、彼女は自分の起こす爆発に倒れ伏しても、いつまでも諦めずに立ち上がり、挑戦し続けた。
「大きな力の壁にぶつかっても、絶対に負けない者を…“貴族”と呼ぶのよッ!!」
その叫びは、人々の魂を揺さぶった。

そんな彼女に、いつしか観衆の生徒たちから大声援が湧き起こる。
「今の、ちょっとカッコ良かったよ―――!」
「ごめんなさい! 私、あなたを見下してた! 本当にごめんなさい!」
「頑張れ“ゼロ”…じゃなくてルイズ・フランソワーズ――――!」
「俺たちみんなが、“お前の味方”だぜ!」
コルベール先生も感激の涙を流している。こんなに一致団結して彼女を応援するなんて、いままで考えられなかった。

(大丈夫! なんだか私、今までで一番、力が湧いてきている!!)
「エネルギー、全・開ッ!!」

ルイズの雄叫びとともに、何もない空間で爆発が起こり…その爆煙の中に、黒い人影が現れた。
「だ…誰!? 何者なの!?!」

それは、長身長髪の、人間の男らしかった。しかし、帯びる雰囲気は明らかに異質だ。亜人であろう。爆煙が晴れて、男が姿を現す。

上半身は裸で、下は素足。腰に蛮族のような布の褌を締め、袴に似た長ズボンを履いてはいたが、内腿まで裁ち開かれ、褌を締めた尻が見える異常なデザイン。リストバンドとズボンの裾、それに褌の前面には、豹の斑紋か薔薇のような模様があしらってあった。

淡く光る蛍火の髪! 熱を帯びた赤銅の肌!
筋肉で固めた二メイル超の巨躯!
コイツが―――――私の呼び出した、“使い魔”!?

「おはよう…キミは誰だ?」

彼、“ヴィクター・パワード”は、どこか懐かしい声で、ルイズに挨拶をした――――その周りでは、観衆たちが“力を吸い取られた”かのように、倒れ出していた。

(つづきません)

◇◇◇

かなり初期の小ネタです。召喚対象の名を隠すため、「ネタバレにつき元ネタ秘密」の項目に入っています。つのは武装錬金がすきです。アニメではヴィクターの娘ヴィクトリアの声がルイズと同じ釘宮さんだったので、その繋がりで召喚させました。それだけです。パピヨンもすきなのですが、彼を召喚すると蒼天孔明めいてえらいことになってしまうのでやめました。

【以上です】

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