ドーモ、三宅つのです。ここが何なのかは下記をご覧下さい。溜まってきたらマガジン化しますが、いまのところジャンクヤードに放り込んでいます。なんとなく月一ぐらいの更新になっています。

▼序

南欧、ゲルマンと来ましたので、今回は欧州編の締めくくりとしてケルト系とスラヴ系の人名をまとめてやります。

ケルトと言ってもいわゆる島ケルトで、アイルランドやウェールズなどブリテン諸島の連中です。島ケルトは大陸ケルトとは別と言われますが、とりあえずこう呼びます。詳しいことは専門家にお聞き下さい。ケルト系人名は中世風ファンタジーものでは定番で、キンメリアのコナンもそうです。ウェールズの古名カンブリアと、南ウクライナの古名キンメリアは古来混同されました。アーサー王もスキタイ系とか言われます。ケルト人が実際東方から欧州に入り込み、ハルシュタット文化やラ・テーヌ文化を形成したことは知られていますが、スキタイやキンメリアとの関係は定かではありません。

スラヴ人はロシアやウクライナ、ベラルーシを含む東スラヴ、ポーランドやチェコなどの西スラヴ、バルカン半島に定着した南スラヴに大別されます。彼らはキンメリア、スキタイ、サルマタイ、ゴート、フンなどの遊牧民に服従していた農民の末裔とも言われ、アヴァール人と共に東欧や中欧へ拡大したようです。奴隷として輸出されることが多かったため英語slave（奴隷）の語源となりましたが、本来は「言葉が通じる連中」程度の意味です。スラヴ人は隣接するゲルマン人をニェムツィ（言葉の通じぬ連中）と呼びました。

欧州には他にもバルト諸語、マジャル語やエストニア・フィンランド語、バスク語やアルバニア語などもありますが、きりがないので大雑把なくくりにします。

決め方：表が複数ある場合は、1D6を振って選択します。1なら最初の、6なら6番目の表です。奇数や偶数で決まる場合もあります。その表でD6を2回振り、数値が縦横で合わさったところの名になります。どっちが縦で横かは恣意的に決めていいですし、3D6をいっぺんに振っても、決まるまで何度でも振り直しても、D6を振らずに適当にチョイスしても問題ありません。

▼ケルト語圏の個人名（男性）

かなり「英語化」された表記です。ガチガチのゲール語とかでやると難しいのでこんな感じです。『ガリア戦記』に出て来る人名はラテン語化されていますが、Branは紀元前4世紀初めにローマを陥落させたBrennusと関係があるかも知れません。Patricはアイルランドにキリスト教を伝道した聖人で、ラテン語Patriciusから来ています。Michaelなどカトリック系の名前も多いですがそちらは南欧の人名表とかで振って下さい。

例：ダイスマンは神秘的なチャワンの中に三つのダイスを投げた。すると見よ、2-6-1と出た。彼は下の表で偶数側の名前表を見て、そこに記された縦6、横1の名前を見た。それはOscar（オスカル）である。

男性、ケルト　1D6を振って奇数なら上の表、偶数なら下の表

　　1         2         3         4         5         6
　1 Aidan     Allan     Allen     Angus     Aodh      Arthur
　2 Barry     Blair     Bran      Brandon   Brendan   Brian
　3 Bruce     Callum    Caolan    Cathal    Cian      Ciaran
　4 Cillian   Collin    Colum     Conan     Conor     Cormac
　5 Craig     Galahad   Gawain    Gordon    Govern    Guire
　6 Griffith  Gwyn      Kay       Kelley    Kenneth   Kenzie

　　1         2         3         4         5         6
　1 Kevin     Daire     Dara      Darren    Diarmuid  Dithi
　2 Don       Donald    Donovan   Dougal    Douglas   Duncan 
　3 Dylan     Fergus    Finn      Patric    Percival  Lancelot
　4 Liam      Llywelyn  Malcom    Merril    Morgan    Murdoch
　5 Murphy    Namara    Neil      Ogma      Oisin     Oran
　6 Oscar     Ronan     Rory      Roy       Ryan      Sean

▼ケルト語圏の個人名（女性）

女性名はあまり多くは見つかりませんでした。有名なのを集めてもこれぐらいです。南欧系の名前と被るのも多く、面倒なのでこうしました。

女性、ケルト　1D6を振って4以下なら下の表、5以上なら南欧の女性名

　　1         2         3         4         5         6
　1 Aife      Aine      Boudica   Branwen   Brigid    Carys
　2 Ciara     Ginessa   Grainne   Guinevere Gwenda    Gwendolen
　3 Dana      Deichtine Deidre    Edain     Edna      Emer
　4 Eriu      Fiona     Igraine   Imorgen   Leslie    Mair
　5 Meabh     Morgan    Mugain    Nerys     Nessa     Nuala
　6 Olwen     Orla      Rhian     Riona     Shannon　　Sile

女性、南欧　1D6を振って1-2なら上の表、3-4なら中の表、5-6なら下の表

　　1         2         3         4         5         6
　1 Agnes     Angela    Barbara   Beatrice  Cecilia   Claudia
　2 Cristina  Donatela  Dorothea  Eirene    Erectra   Helena
　3 Honoria   Felicia   Flora     Patricia  Paula     Victoria
　4 Ursula    Zoe       Iris      Laura     Leona     Marcia
　5 Martina   Monica    Natalia   Nicola    Octavia   Olivia
　6 Regina    Romina    Sophia    Stella    Theodora  Theresa

　　1         2         3         4         5         6
　1 Agatha    Alexandra Anastasia Antonia   Augusta   Aurelia
　2 Bianca    Cathrine  Clara     Constanza Cornelia  Gracia
　3 Diana     Emilia    Eudocia   Eugenia   Euphemia  Hilaria
　4 Fausta    Flavia    Petra     Philippa  Veronica  Viviana
　5 Julia     Joranda   Justitia  Liliana   Livia     Lucia
　6 Margarita Mellisa   Sebastia  Silvia    Stephana  Titania

　　1         2         3         4         5         6
　1 Abigail   Alicia    Anna      Berta     Caroline  Gabriela
　2 Debora    Eleanor   Elisabeta Emma      Erica     Ermine
　3 Ester     Eva       Hanna     Francesca Frederica Frida
　4 Ulrica    Josefine  Joanna    Leah      Liza      Luisa
　5 Maria     Magdalena Matilda   Michaela  Naomi     Rachel
　6 Raphaela  Rebecca   Roberta   Salome    Sara      Susanna

▼スラヴ語圏の個人名（男性）

広大なスラヴ語圏の名を思い切って混ぜこぜにしました。ほぼロシアです。西スラヴと南西スラヴ（クロアチア、スロベニアなど）はカトリックの、東スラヴと南スラヴは正教の影響を強く受けています。愛称とかが非常に複雑なのですが、とりあえず省略します。各自でお調べ下さい。

例：ダイスマンは神秘的なチャワンの中に三つのダイスを投げた。すると見よ、1-6-2と出た。彼は下の表で一番上の名前表を見て、そこに記された縦6、横2の名前を見た。それはRyurik（リューリク）である。

男性、スラヴ　1D6を振って1-2なら上の表、3-4なら中の表、5-6なら下の表

　　1         2         3         4         5         6
　1 Bogdan    Bogomir   Boleslav  Boris     Greb      Kazimir
　2 Damir     Darko     Dobrin    Domard    Dragan    Dusan
　3 Preslav   Premysl   Vlad      Vladimir  Vladislav Vojtech
　4 Zitmir    Zlatan    Zoran     Zvezdan   Zventbod  Igor
　5 Yaroslav  Miloslav  Mirko　　  Novak     Oleg　　　 Radomir
　6 Rostislav Ryurik　　 Stanimir  Stanislav Svyatslav Tomislav

　　1         2         3         4         5         6
　1 Afanasy   Alexandr  Alexey    Anatoly   Andrey    Anton
　2 Arseny    Artem     Konstantn Kyril     Georgy    Gregory
　3 Denis     Dmitry    Euseby    Evgeny    Fyodor    Pavel
　4 Philipp   Pyotr     Valentin  Vasily    Viktor    Lavrenty
　5 Leonid    Lev       Luka      Mark      Maxim     Nestor
　6 Nikolay   Roman     Sergey    Silvy     Stepan    Timofey

　　1-2        3-4      5-6
　1 Abraam    Adam      Daniil
　2 David     Efrem     Foma
　3 Iakov     Iliya     Ioakhim
　4 Iosif     Isaak     Ivan
　5 Lazar     Matfey    Mikhail
　6 Mozes     Samuil    Semyon

▼スラヴ語圏の個人名（女性）

やはり多くはありません。南欧系でもある程度置き換えられると思います。

女性、スラヴ

　　1         2         3         4         5         6
　1 Alexandra Anastasia Angela    Anna      Barbara   Biljana
　2 Bozena    Kalina    Daria     Darina    Dragana   Dubra
　3 Ekaterina Elizabeta Erena     Evgenia   Polska    Vesna    
　4 Vlanda    Zoe       Zorya     Zvezda    Irina     Julia
　5 Ludmila   Lydia     Marfa　　  Maria     Nadezda   Natalija
　6 Olga      Roxelana  Snezana   Sofija    Svetlana  Tatijana

▼父称と家名

個人名だけでなく父称と家名もつけてみましょう。島ケルト系の父称の接辞は頭につき、O'やMac-,Nic-Fitz,Ap-等です。Arthurの子はMacArthur、Donaldの子はMacDonald、Neilの子はO'Neilとなります。家名もこれでいいのですが、あれなら前回の英語圏の家名表で振って見て下さい。娘はNic-です。

例：ダイスマンは先にOscarという名を得た。最初の表でもう一度振ると、見よ、6-6-6と出た。それはSean（シーン）であり、Oscarの父である。彼は Oscar MacSeanと名乗るであろう。試みに女性名を振ると2-4-1、Eriuである。彼女がSeanの娘であれば、Eriu NicSean と名乗るであろう。

スラヴ人は父称を大事にし、正式なミドルネームとして持ちます。父名の末尾によって接辞も変化し、息子なら（-a）-ich,（-i）-jevich,（子音）-ovich、娘なら-ichna,inichina,-jevna,-ovnaとなります。父がNikolayならば、息子はNikolajevich、娘はNikolajevnaです。IvanならIvanovichとIvanovna、IliyaならばIliichとIliichinaとなるわけです。こうした変化は家名にもあり、Romanov家の娘は家名をRomanovaとします。

例：ダイスマンは先にRyurikという名を得た。もとの表でもう一度振ると、見よ、1-5-1と出た。それはYaroslav（ヤロスラフ）であり、Ryurikの父である。彼は Ryurik Yaroslavich と名乗るであろう。下の表で家名を振ると、見よ、2-3-1と出た。それはBolshakovであり、彼の家名である。すなわち彼は Ryurik Yaroslavich Bolshakov と名乗るであろう。

例：ダイスマンは試みに女性名を振った。3-2、Elizabeta（エリザベータ）である。彼女が Ryurik Yaroslavich Bolshakov の同父姉妹であれば、彼女はElizabeta Yaroslavovna Bolshakova と名乗るであろう。 

家名、ロシア　1D6を振って1-2なら上の表、3-4なら中の表、5-6なら下の表

　　1         2         3         4         5         6
　1 Alxandrov Alexei    Andreev  Anisimov   Antonov   Baranov
　2 Belousov  Belov     Belyaev  Blinov     Bobrov    Bogdanov
　3 Bolshakov Borisov   Gerasmov Golubev    Grigoriev Gromov
　4 Gusev     Kalinin   Kazakov  Kisilev    Kolesnkov Komarov
　5 Konovalov Korolyov  Kovalev  Kozlov     Krylov    Kudryavtsev
　6 Kulyk     Kuznetsov Danilov  Davydov    Dmitriev  Dorofeyev

　　1         2         3         4         5         6
　1 Efimov    Ershov    Fedotov  Fomin      Frolov    Fyordorov
　2 Pavlov    Petrov    Petukhov Polyakov   Ponomarev Popov
　3 Vasilyev  Vingradov Volkov   Vorobyov   Zakharov  Zaytsev
　4 Zhukov    Zhuravlev Ilyin    Ivanov     Yakovlev  Yegorov
　5 Lebedev   Makarov   Markov   Matveev    Maximov   Medvedev
　6 Mikhailov Mironov   Morozov  Nikiforov  Nikitin   Nikolaev

　　1-2        3-4      5-6
　1 Novikov   Orlov     Osipov
　2 Romanov   Ryabov    Semyonov
　3 Sergeev   Shestakov Shiryaev
　4 Sidorov   Smirnov   Sokolov
　5 Solovyov  Sorokin   Sobol
　6 Stepanov  Sukhanov  Tsvetkov

ダイスマンがなにかしていますが、このように人名を作成出来ます。

▼参考

こうした人名を集めたサイトは多数あります。あなたは自由に人名を探してみて下さい。

次回からアジア編です。まずはユダヤ、アラブの人名をしていこうと思います。以上です。

【続く】