「どこも余計に変えていない」の効力

印刷物制作のお話を。

制作者は常々クライアントからの依頼に忠実に修正を施すものの、時にはミスることもあって、もし印刷後に深刻な不具合が見つかろうものなら刷り直しや関連の人件費が嵩んでしまいます。たとえクライアントから「校了」を得ていても、たいていは制作者側の責任ということに...。

よって私が現役の制作者だった数年前は、仕上がりの確認も兼ねて紙面(誌面)のどこを修正したかを注釈で明示したPDFも作成して、校正用のPDFと一緒にクライアントに提出するのが慣わしでした。

でも、現役の制作者の話を聞くと、もはやそれでは不十分だそうな。クライアントは「どこを修正したか」ではなく「修正指示の箇所以外はどこも余計に変えていない」の証明資料を求めるとのこと。

というのも「どこを修正したか」が指し示すのは制作者が把握している修正箇所のみで、無意識に変えてしまってたり、後で戻すつもりで移動させた要素を戻し忘れた場合などは漏れているかもしれないから。確かにそうですよね。

ただし、「どこも余計に変えていない」という資料を用意するのは案外手間です。そこで、その機能をリアルタイムPDF比較ビューワアプリ『XOR(エックスオーアール)』に追加して先日リリースしました。

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元々XORは二つのPDF間で対になるページを合成して変更箇所を赤や青に着色、それ以外をグレーで画面表示する機能を持ち合わせていたので、これをわずかな操作でPDFに書き出せるようにしたわけです。

書き出したPDF上で赤や青に着色されている箇所から修正依頼箇所を除外していけば、残りは余計に変えてしまった箇所。そうして制作者自身ではなかなか気づけない無意識の変更を見つければ品質確保の上で有利になり、クライアントにも満足していただけることでしょう。

詳細はXOR for Mac Version 1.5のWebページでご確認ください。

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