白い悪魔と黒い神

そのカラダは
氷のような結晶なのか
冷たく透きとおって
その奥は白くかすむ
しなやかに髪は天を突き
強靭に踊る体躯
爪と牙は限りなく鋭く
瞳は赤々とした熾火
瞳の他は白く冷たく艷やか
その姿をあえて準えるならば
限りなく純粋で無慈悲な獣

全身を包むのは黒い衣
ツヤのない黒い衣
すべての光を吸い取り
その奥に虚無を湛える
髪も顔も手も足もすべて黒
ただふたつの瞳は赤々とした熾火
背より高い黒い杖を持ち
気配なく佇む姿は暗黒
何処までもどこまでも深い慈悲の暗渠

同じ場所に在りながら同じ地平には居ない
互いに見つめ合いながら干渉をしない
共通するのは瞳の赤々とした熾火
それぞれ真逆の指向性を持った量子が
磁場を作り 波動を生み 渦になる

内なる宇宙の彼方に渦巻く
白い悪魔と黒い神

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