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昔は確かに天才だったかもしれない君へ

これは何の変哲もないただの今を楽しんでる私から、昔の私への物語だ。
つまり、おじさんに足を踏み込んだ私の独り言である。


昔の私へ

やぁ、中学時代の私。君は元気かい。
いきなりだが君は間違いなく天才だったと思う。
でも君は、これから努力をしなくなるだろう。
何でその道を選んだんだろうね?
まぁ自分の事だから本当はわかるさ。

未来の私は、後悔してるともいえるし、満足しているともいえる。
まぁ好きに生きなよ。なるようになるさ。
でも出来るんだったら、努力をしといても良かったかもなぁ。

そうしておけば、今と違うセカイがきっと見えていたんだろうと思うよ。

ただ、別に今見えるセカイが悪いと思ってるわけでもない。
そう、ただ未知ってのは楽しいからこんな事を言ってるだけなんだ。

未知が楽しいということは、子どもに教えてもらったんだ。
まだ小さい私の子ども達は、本当に何も知らない。
そして、子ども達は、新しい事を知るごとに目をキラキラさせている。

私は大人になってしまって、この気持ちを正直忘れていたんだけど、あの子達のおかげでその気持ちを思い出したんだ。

もう、今の君はそれを忘れていた気がするけどね。

君の才能は凄かった

そう、こんな事を書いても昔の私の話だから恥ずかしい自画自賛にしかならないけど、中学時代の君は本当に凄かったんだ。
正直に言って君は勉強と言える程のことをほぼしたことがなかったね。

毎日ただ授業を聞いて、出された宿題をやり、定期試験の当日の朝だけは1時間早く学校に来ては教科書とノートを読むだけだ。
君は平気な顔をして、勉強なんかロクにしていないと言っていた。
実際そうだったね。君は家では宿題以外はゲームしかしていなかった。

それでも君は試験で常に学年上位を維持してた。
誰も取れない良い成績を取った事は何度もあった。
外部の模試ともなると学内での成績は常に1位だ。
なんなら全国で見ても2桁レベルの上位だ。
毎回結果が来ると本に名前が載っていた。

本当に懐かしく、輝かしく、恥ずかしい実績だよ。
何故なら、今私はその能力を生かしていない自覚があるからね。

1年の終わりに君は毎年成績最上位者として表彰されていた。
全校生徒の前で、勉強なんか授業を聞いて宿題やってるだけで誰でも出来ると毎年言い続け、君は先生達をひどく困らせていたよ。

でも誰も信用しなかろうと、今の君にとって唯一の真実だった。

今の自分に同じ事が出来るだなんて、とても信じられないよ。多分今の私が若返って同じことをやっても、とても同じ結果が待っているとは思えない。

そう、本当に君は凄かったんだ。もう過去の話だけどね。
今の私は誰がどう見ても平凡なおじさんさ。

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