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自分の経験を信じて騙されやすい人の考え方「批判的思考」+31

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+20,+30

前回は、強烈な体験をするとクリティカルシンキングが弾かれてしまう話をしました。

今回は、そんな体験をしてもクリティカルシンキングを維持するための方法論、ヒューリスティクスの「利用可能性」について説明していきます。

ヒューリスティクスとはなにか?

たとえば、「10日連続でBさんに偶然会ったんだ!これは運命だろう?」と興奮して話すAくんがいたとします。彼はこの現象を偶然ではありえないと判断し、運命だと結論づけました。

このときのAくんは、偶然の出会いを超常現象と結論づける過程で、「めったに起きない!」という生起確率を判断基準にしています。

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ヒューリスティクスとは、今までの経験や知識をもとに、簡素なやり方を用いて確率判断を下す行為です。

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確率判断に便利な利用可能性

ヒューリスティックには代表的な2つの使い方があります。その1つが、利用可能性です。

たとえば、AくんがBさんとの出会いを運命だと結論づけたのは、実例を思い出せるかを基準にしていると言えます。2,3日連続で偶然同じ人と会った経験は思い出せても、10日連続の出会いとなるとほとんどが未経験でしょう。

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このような偶然の出会いが思い出せないからこそ、生起頻度が低いと判断して超常現象と考えているのです。もし10日連続で色んな人と出会う機会がよくあるのであれば、運命とは言えなくなるのです。

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利用可能性が危険な例

利用可能性は、想起できる思い出の数が多いほど、その現象を正しいと考える傾向を作ります。

たとえば、どちらが死亡要因として多いのかを考えてみましょう。

1.交通事故
2.心臓発作

この2つから選べと言われたら、ぼくは交通事故が多いように感じます。なぜなら事故死のニュースはいくつも思い出せるわりに、心臓発作の死亡例は思い出せないからです。

しかし、答えは心臓発作です。

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強烈な思い出や何度も繰り返される体験は、利用可能性ヒューリスティックによて正しいと判断される傾向にあります。この点には注意しなければいけません。

【考えてみよう】
「街にゴキブリが多すぎる!この街どうなってんの?ゴキブリ多すぎだし汚いわ」と嘆いている人に、あなたは何と助言するでしょうか。利用可能性を考慮に入れつつ、考えてみよう


読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。