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主観的確証を賢く利用する方法「批判的思考」+36

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+20,+30,+31,+32,+33,+34,+35

前回は、確率を使った代表性ヒューリスティクスを説明しました。

今回は、「主観的確証」について説明します。

人は自分の期待通りにものごとを見る

たとえば「クレヨンしんちゃん」のしんちゃんが、憧れのナナコお姉さんから、「しんちゃんって誠実なのね」と褒められたとしましょう。しんちゃんは機関車のようにシュシュポポと喜び、自分が遊んだ道具をすぐに片付け、シロの散歩も積極的に行い、みさえの手伝いもするようになりました。

少し極端ですけど、人は誰かに期待されるとその期待通りに行動し始めます。

しんちゃんがここまで誠実になれたのは、しんちゃん自体が誠実な行動を心がけたからにほかなりません。言い換えれば、しんちゃんは誠実になりたいと考えていたからこそ、誠実な行動とはなにかを見つけ、実践できているのです。

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主観的確証がしんちゃんを誠実にした

期待が生み出す行動の変化は、「主観的確証」が引き起こしています。主観的確証とは、有利とも不利とも考えられる証拠を自分に有利だと考え、自分の信念を支持する証拠と思いこむ傾向のこと。

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しんちゃんの例で言えば、誠実さという証拠を手に入れたとき、この証拠の真実味を考えずに確証として使っていますよね。このような現象は、主観的な確証が引き起こす「期待効果」と呼びます。

この期待効果には、自分の信念を強めるいい面もありますが、危険な側面もあります。

もしその確証が危険である証拠が見つかっても、その事実を否定して信念として持ち続けてしまう可能性があるのです。もししんちゃんがナナコお姉さんに「しんちゃんって乱暴なのね」とラベルを貼られたら、しんちゃんの信念には乱暴という確証が根付いてしまうかもしれません。

もしそうなってしまえば、主観的な確証で引き起こる期待効果が働き、しかもカンタンにはその確証を引き剥がせないとすると。。。

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ここで大事なのは、自分がものごとを判断するとき、その証拠に対して期待が含まれていないか、自分なりの解釈が入ってしまっていないかを確認することです。

【考えてみよう】
「血液型がA型の人は神経質である」という信念を持っている人がいたとする。彼がA型のVくんと遊んでいるとき、Vくんに対してどのような印象を持つだろうか。主観的確証をもとに考えてみよう




読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。