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映画「夜明けのすべて」感想文

映画が始まる直前まで、ちょうど午前中の自分の言動を反省していた。
こうやって返したほうが、いい人っぽかったかな。生意気に思われてたらどうしよう。

「自分は、他人からどう思われたいのだろう。仕事ができると思われたい訳じゃない。地位や名誉が欲しい訳じゃない。なにかを得たい訳じゃないのに、人からの見られ方を気にしてしまう。」

だから、一番最初のこの声がやけに心に馴染んで、ちょっと泣きそうになった。

夜が存在することで、地球の向こう側の世界を想像することができる。

暗い部分があるから、他の人の痛みに寄り添える。藤沢さんはそんな人だと思った。PMSを抱えながら(抱えているから)山添くんと向き合える。山添くんに対してだけではなく、山添くんの元同僚、職場の人、母に対するあたたかさが素敵だと思った。

移動プラネタリウムの解説に出てきたこの言葉は、私たちに想像することを教えてくれる。「あの人にも、人に見せたくない部分があるのかもしれない」と他の人に優しくなれるのと同時に、「誰も敵じゃないよ」と自分にも優しくなれる言葉だ。


喜びに満ちた日も、悲しみに沈んだ日も、地球が自転を続ける限り、終わりが来る。

私たちの日常にはお構いなしに存在している、遠くて大きな宇宙のことを考えたら、なんだか無理をしなくても、自分の歩みを進めていける気がした。

1本の映画で世界が変わるなんて、そんな大袈裟なことではないけれど、少なくとも映画が始まる1分前の私は救われたし、今日は人に優しくありたいし、早く夜空が見たいと思った。

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