人間扱いされなかった自分は何者だったのか


幼い頃から病気だった。
入院が必要なのにさせてもらえなかったけど。
私は看護師さんたちの優しさなどを知ることもなく、ただ腫れ物扱いを受けてきた。

風呂で発狂する娘を、母はどんな目で見ていたのだろう。
いい加減にしろと揺さぶって"泣くのを禁じた"母は、その日から硬直して唸るようになった私を、どう思ったのだろう。

母は当時、ベランダの向こうに向かって祈ってたらしい。
私が取り憑かれたとでも思ったのだろうか?

嚥下する感覚が怖くて、何も飲み込まなくなった娘に必死で水分を取らせる毎日って、どんな感じだったんだろう。


そして私は21歳の頃、初めて人間扱いされた。

それまで関わってきた人々には、私は何に見えていたのだろうか?

何処へ行くにも隅っこでうずくまってゼエゼエとしている人間は、人間じゃなかったらしい。

人間扱いされたきっかけは、絵の商業的成功、ただそれだけ。

この世の中って、名声さえあれば中身がボロクソでもいいんだ、って、知りたくもないことを知った日。

どれだけ頑張っても、どれだけ優しくしても、どれだけ正しくあろうとしても、バケモノだった私は、"稼げるから"人間になった。

そして、これが人間の吸う空気か、と知り、その後に今までは?と私に問われた。

私はそれ以来決めてることがある。

どんなひとでも人間扱いすること。

どんなに華やかな世界にいても暗闇を抱えてる人がいることを知れたので、誰にも分け隔てなく、
一貫して、人間として関わること。

優しさまで資本主義なんていやだから。



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