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サマーソニック2003レビュー

20年前のサマーソニック、サマソニ2003のレビューをいまさら書いてみる。

今年もサマーソニックが始まった。
サマソニに行くのは去年に続いて2年連続。
お目当ては初来日ライブのマーズヴォルタ、再結成ドアーズだ。

友人と海浜幕張駅で待ち合わせて入場ゲートへ。チケットをリストバンドと交換し、マリンスタジアムの入場ゲートへ向かう。

既にトップバッターのポリフォニックスプリーのステージが始まっていて、今年も去年に続いて来たぜ!楽しもうぜ!とテンションが上がっていく。
ポリフォニックスプリー、メンバーの人数が多くて全員白装束の謎の集団、という事前情報のみで観たらカオス。笑
音数が多くてなんだかわけわからんw見た目も音もカオスそのものだった。
ま、夏フェスはお祭りだ。お祭りなんだからこういうのもいいじゃないか、と思い数曲だけ聴いて幕張メッセまで移動。

幕張メッセに着くと冷房が迎えてくれる。
冷房下で床で寝れる快適な夏フェスはサマソニ東京だけだと思う笑

ラプチャー

さて、幕張メッセで観るアクトはラプチャーから。House of Jealous Loversしか知らない状態でポストパンク・リバイバルサウンドを初体験。1人カウベルを叩いて盛り上げるメンバーがいる。バンドの演奏自体はうーん。イマイチノリ切れないまま終了。

次はマンドゥ・ディアオだ。
スウェーデン出身でストロークス、ホワイトストライプスが火をつけたガレージロックリバイバルでライブの評判も良いらしい。
とにかく人がすごい。入場規制もかかるくらいの入りだったようだ。
スーツでステージに立つのはビートルズみたいでかっこいい。メインソングライターの2人は曲によってヴォーカルを交替しお客さんを盛り上げるのも上手だった。
同行した友人は楽しめたそうだが、自分はこちらもイマイチ。

次はインターポール。
こちらもポストパンク・リバイバルの流れで出て来たニューヨーク出身の若いバンドだ。20代前半の僕には評論家の評価が高い通好みのバンドはイマイチ相性が良くないようだ。
うーん、こんなものかという感じ。

ここで友人はステレオフォニックス、ストロークス、レディオヘッドを観るためにスタジアムに行くことに決めたらしく、一度解散。

さて、次が今回サマソニで最も観たかったバンド、マーズヴォルタだ。
インターポールが終わって引いていったお客さんの間をぬって最前列めがけて前進。突進とも言うw
開演前にはキーボード担当アイキーの手前まで突っ込めた。
さて、メンバー登場。フロントのアフロ2人はアットザドライブインをライブで観れなかったので初見。アフロ大きい!笑
メンバーが揃い、演奏が始まる!

各メンバー全員がテクニカルな演奏でとにかく凄い。
ドラムスのジョン・セオドアは鬼神のごとくドラムを叩きまくる。
ベースのホアン・アルデレッテはポールギルバートバンドのメンバーらしい。寡黙に歪んだベースを指弾きでビシビシと弦をはじく。
キーボードのアイキーはお客さんを見てニヤリと笑ったりするのだがこれがほのぼのとする。笑
元At The Drive-Inのアフロの片割れ、ギターのオマーはなんだかわからんが踊りながら弾きまくる。アクションも凄い。かっこいい!
もう1人のアフロ、セドリックはじっとしている時間がほとんどない。ムチのようにマイクケーブルをくるくる回し、時折マイクに向かって叫ぶ。アメリカ最果ての地テキサス州エルパソから日本に来ても彼の中には達成感なんて微塵もないのだろう。
途中ベースソロがあったり(今日のハイライトだったかもしれない)、長いインプロヴィゼーションを挟んで原曲がギリギリわかるくらいのライブアレンジ。二度と同じものは観れないというライブならではの緊張感。
ハードコアのようなプログレのような民族音楽のような、でも新しいサウンド。アット・ザ・ドライヴ・インでは物足りなさを感じたオマーの気持ちがわかった気がした。
マーズヴォルタ終演後は疲労感が凄かった。
凄いものを観た!という感じだった。

友人とは別れていたので幕張メッセで1人夕食。
モニター越しにストロークスを観る。音が全然聴こえなかったので雰囲気は分からなかったが2ndアルバムレコーディング終盤だったようだ。後で知ったのだが世界初披露の新曲も何曲かやったらしい。

サマソニ東京にはなぜかお笑いステージがあり、たまたま通るとテレビで見たことある人が紙芝居をパラパラめくっていた。
鉄拳だ!
最後のほう少しだけだったが、生で見れた。絵が本当に上手。
話もテレビで見るより数倍面白い。音楽もお笑いも、やっぱりライブが良いのだなぁ。

さて、お目当てその2は再結成ドアーズ!
ジム・モリソンは30年以上前に既に故人なので、代役のヴォーカルは元カルトのイアン・アストベリー。
それにドアーズのオリジナルメンバーが2人、ギターのロビー・クリーガーとキーボードのレイ・マンザレク!
ドラムのジョン・デンズモアは今回ツアー不参加らしく、残りのベースとドラムスはサポートメンバー。
あれ?ドアーズってベース居たっけ?と少し違和感を感じつつもライブスタート。

始まったらジム・モリソン不在の不安感はどこへやら。
ヒット曲連発でお客さんを盛り上げる!

お客さんは少なめながらも、ドアーズ来日を待っていた人でいっぱいなんだと思うと新参ファンながら嬉しく感じる。
事前に一番の不安要素だったのはもちろん代役のヴォーカルだが、黒髪を伸ばしジム・モリソンのようにタイトなズボンを履いたイアンは見た目がジム・モリソンっぽいだけではなく歌もキーが合っているのか低い声で唸るところが実にジム・モリソンに似ている。ジム・モリソンは死んだが音楽はここで生き続けているのだ。

元ザ・カルトのイアン・アストベリー。
ジム・モリソンの代役として最高の仕事をしたと思う。
カッコよかった。


バンドは超ベテランらしい演奏力でイアンを支える。
レイ・マンザレクはフェンダー・ローズベースを弾かなくていい分手持ち無沙汰なのか、客を煽ってニコニコ微笑んで楽しそう。
ギタリスト/ソングライターのロビー・クリーガーは独特のピッキングで派手ではないがしっかりしたプレイを魅せてくれる。
ハートに火をつけて、ブレイクオンスルー、ジ・エンド、音楽が終わったら、アラバマ・ソング、水晶の船と1st・2ndの初期ナンバーを中心にライブは進行してゆく。
ふと我に返り、「これはすごいものを観た、夢のようだ」と感じた。
ステレオフォニックスとストロークスを諦めてドアーズを観て本当によかったと思った。

ドアーズが終わったら、幕張メッセを出て全力でマリンスタジアムにダッシュ。
同じ流れの人もたくさんいる。15分くらい歩くとスタジアムの音漏れが聴こえてきた。

レディオヘッド、Airbagのイントロだ!
大学受験時代に一番聴いたCDの一つ、OKコンピューターの曲を聴きながらスタジアムの中に入って席に座る。本編最後はアルバムKID Aラストの曲、Everything Its Right Placeだ。ポストロックっていうのかな?ギターがほとんど聴こえないKID A以降のレディオヘッドサウンドはあまり好きじゃないのだが、ライブで何回も演奏をして慣れてきたからか、今回のEverything〜はかっこいいと感じた。
本編が終わりメンバーが一度ステージから去り、再び戻って来て演奏を始めたのはなんとCreep!確か前回来日した時のKID A/Amnesiacツアー横浜アリーナでは演奏されなかった曲だ。観客からも大きなイントロだけで大きな歓声が上がる。そしてトム・ヨークがゆっくりと歌い始める。カート・コバーンがイギリスのトップ・オブ・ザ・ポップスに出演した際ゆ〜っくりとSmells Like Teen Spiritを歌った時のように、一語一語大事に歌ってゆく。最後は大歓声と共に花火が打ち上げられ、サマーソニック2003は終わったのであった。

マリンスタジアムから海浜幕張駅まで歩く途中でレディオヘッドをスタジアムのアリーナで観た友人から手元のJフォンにEメールが入った。
「レディオヘッド良かった。最新作でやりたかったことがわかった。Creepやった。最高だった。」
僕は、そうだね、と思い帰路に着いたのであった。

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