virtual-description-33_のコピー

最近のバーチャル事象概念図

builderscon tokyo 2018の発表まとめ、その2である。

2018年はVRやバーチャルにまつわる流行が大激変し、ここ数年とは全く違う活況を見せている。しかし、それを外側から見ている人達には何がどうなっているかわからない、という様子が観測されたため、初心者向けとしてそれぞれの概念がどう関係しているかを図を交えて説明してみる。

題して、「最近のバーチャル事象概念図」。

最近、VR関連の重要キーワードに新しいものがガンガン増えてきている。

渦中にいる人には理解できても、外側から見ている人にはわけがわからないというか、一緒くたで「VR」みたいに捉えられている向きもある。

そんな方々のために、それぞれの概念がどう関係しているかを説明する。

まず、VRと呼ばれているものは何なのか?
前回エントリの冒頭で「バーチャルリアリティ」として説明しているものがそれにあたることになるが、正しい意味は置いておいて一般的に想像されるものとしてはもっと狭義である。

VRは、おそらく「体験ジャンル」のひとつとして認識されている。動画コンテンツ、テキストコンテンツ、画像コンテンツに並ぶものとしての「VRコンテンツ」。今回は、この定義をベースとして他の概念とどう関係しているかを見ていく。


続いて「VTuber」。

VTuberのWikipediaの定義。「動画配信・投稿を行う」「バーチャルアイドル」がVTuberとしている。簡潔だ。

前段のようにVRを「体験ジャンルの1つ」とした場合、VTuberとVRは直接は関係がない。が、全く関係ないというわけではない。


VTuberは、体験コンテンツを様々な形でメディアミックス的に展開する。そのうちの1つとして「VR体験」を(バーチャル交流イベントといった形で)提供することもできる。ただし、これができるのは3Dモデルをモーションキャプチャシステムでコントロールする方式のVTuberに限られる。

続いてVRChat。

VRChatは、仮想空間上でユーザー同士が交流できるアプリケーションだ。大人数で参加してもストレスなく話し合いができる、優れた性能を持っている。また、自分で用意した3Dモデルを自分のアバターやワールドとして共有することができるため、前回のエントリで説明したような、「なりたい自分になる」という体験をこのアプリで実現することができる。


素直に考えると、VRChatはここに入る、しかし・・

VRChatは「ユーザー自身が」体験を作り出すので、もう少し違う入れ方をしたい。どういうことかと言うと・・

まず、一般的なというか従来のVR体験の、「体験を提供する側」と「受け取る側」の関係はこうである。開発側が体験のすべてを握り、ユーザーはそれを受け取るのみ。

しかし、VRChatの場合はこう。開発側はプラットフォームを提供し、体験自体はユーザー側の方で作る。つまり、体験の提供と享受がユーザー内でほぼ完結し、新しい体験が生まれ続けるサイクルができているのである


よって、VRChatの関係の仕方はこう表現できるであろう。体験のジャンルの他にコミュニケーションツールのジャンルがあり、そこに入るVRChatが体験ジャンル側にコンテンツを提供している、という感じである。


また、最近は「VRChatを使ってYoutubeの番組を作る」というアプローチも生まれてきている。

ということは、動画コンテンツの方にもVRChatからつなげられるということになる。

続いて、Cluster。

Clusterとは、仮想空間上に集まれる部屋を作り、プレゼンテーションすることができるサービスである。
最近は輝夜月ライブもこのサービス上で実施され、「VRイベント空間」として急速に進化してきている。

Clusterもコミュニケーションツールであり、発表という形でユーザーがVR体験を提供している。

続いて、バーチャルキャスト。

バーチャルキャストは、かなりVTuber側に寄ったツール。VR体験よりも配信に特化している。とは言えVRコミュニケーション機能が配信の自由度を支えてもいる。

図に入れるとこう。また、前の画像ではVTuberを直接VR体験につなげていたが、実際はこのような感じで、VTuberもVR体験として提供する場合はVRコミュニケーションツールを用いることになる。


次はVRM。

VRMは、新しく生まれたアバター向けデータフォーマット。人間としてコントロールするために必要な「頭はどれ」「腕はどれ」「足はどれ」「笑顔は何番」「怒り顔は何番」などといった情報が共通規格として運用できるようになっている、控えめに言って超便利なフォーマット。一般的に用いられているfbxデータだと、こういった情報が(当たり前だが)標準化されていないため、データ作成時に独自にルールを作る必要があり非常に面倒だった。


VRMはアバターを使うようなアプリケーションであれば何でも活用できるため、VTuber、VR体験、VRコミュニケーションツールそれぞれを強化するような役割を果たす。

VRoid Studio、およびVカツ

これらは、アバター制作に特化した3D作成ツールである。VRoid Studioは「絵師が作りやすい」ことに特化したフルスクラッチタイプ、Vカツはより容易に、パーツの組み合わせだけで作れるタイプであり、それぞれで特徴が異なる。


VRoidもVカツも、現状ではVRMフォーマットでのデータ書き出しに対応しており、このような関係として図で表現できる。

ということで、まとめると・・

なかなかにカオスだが、まずは「体験コンテンツ」の軸と「コミュニケーションツール」の軸は分けて考えた方が整理されるということ。また、VTuberブームと同時的、あるいは相乗するようなかたちでVRコミュニケーションツールが進化し、人気が出ており、従来のVR体験コンテンツとは一線を画しながらもVRの普及には一役買っているので全体的にはいい感じだということである。

以上。
スライド本体はこちらにアップしている。


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