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香港慕情 エピソード3(2023:8/31)


深水埗から啓徳


中秋節の準備は始まったばかり

 深水埗はどちらかというと観光客向けではなくローカル色の強い地域だと思う。以前は怪しいPCソフトだとかVCDを買いに高登電脳中心&黄金電脳商場をうろついたり、露店みたいな衣料品店でスポーツウェアのアウトレット品をゲットするために訪れた。

 今回の目的はSIM。年末に台湾に行く予定なので、現地で使えるSIMを入手するらしい。(夫のすることなのでよくわかっていない)数件の露店を冷やかして、使用日数と値段の折り合いがついたものを入手。
 ここには文具・玩具店が集まった一帯もあるのだが、まだ開店前でほとんどの店が閉まっている。中秋節が近くなると色とりどりのランタンが所狭しと飾られてそれはそれは美しい。開店準備を始めた一軒を見つけて覗かせてもらう。

毎日出し入れするのは大変そう
いろいろ危ない
今年の流行はフェルト製?
紙製のレトロデザインも生きている

 中秋節当日はこのランタンを灯して家族で高くて見晴らしのいい場所に行きBBQをしつつお月見をするのが香港のスタンダードと聞く。ろうそくを使うレトロなランタンもまだ現役だが、電池でLEDを灯すのが今風らしい。そして絶対無許可だね?お土産にしたら税関で取り上げられるね?という版権無視のキャラクターものがあるのも相変わらず。フェルト製のランタンは初お目見えだった。これも再生可能という風潮から生まれたものだろうか。

又一村~フェスティバルウォークでおしおきよ! 

 MTRで九龍塘駅まで出て、バスターミナルから啓徳空港跡地に行こう、とショッピングモールを抜けようとしたら、美少女戦士セーラームーンのイベント真っ最中だった。なるほど、中秋節に合わせて劇場版公開とイベントかぁ、月つながりねぇ、と感心する。

平日なのでまだ人はまばら
劇場版公開記念イベントらしい
グッズを買うには整理券が必要とのこと

  香港では至る所で日本発のアニメやキャラクターを見かける。ランタンのような無許可の物よりも、正式に許諾を得ているものがとても多い。
 MTRは全面的に「ちびまる子ちゃん」キャラで様々な注意喚起のポスターを掲示していた。

 日本でもディズニーやスヌーピー、ミッフィーなど海外のキャラクターが公的機関のPRに使われたりするだろうけど、香港の「日本好き!」度に比べればおとなしいなぁ、と思う。(ディズニーもスヌーピーもミッフィーもかなりローカライズされているし)
 かなり郊外でもイオンやはま寿司、吉野家などは見かけるし、セブンイレブンはドラえもん、キティちゃんが席巻している。今回驚いたのはあらゆるMTR駅の改札近くにおにぎり専門店のチェーンがあったこと。

 日本のコンビニおにぎりの倍くらいは平気でする価格帯なのに、朝のラッシュ時には行列ができるほどどの店も繁盛している様子だった。日本人からすると「高いな!」と思うおにぎりだけど、ちょっとしたベーグルサンドに比べたら安い、という感覚なのかもしれない…

追憶の啓徳空港跡

 地図上ではそう離れていないはずの九龍塘駅と啓徳空港跡地。グーグルマップの路線検索機能で見るとやたらとぐるぐる回って、小一時間かかった。

 しかも途中でドラゴンダンスの行列に遭遇し、列が通り過ぎるまで信号が変わらないので2階の最前列席で見物させていただくというおまけつき。

ドラゴン2頭と供物を持った人々で大層な列に

 普段は通り過ぎることもない場所だったので、飽きることなく車窓から風景を眺めていられるのも香港の楽しいところだと思う。私立学校とか高級住宅地とか小児病院を抜けて工事現場の真ん中を突っ切ったら真新しいオフィスビルが立ち並び、さらに工事中のエリアを越えるとようやく啓徳空港跡地に着いた。 

人とすれ違うことがほぼなかった

 1996~97年の訪港の際はこの地に降り立っていた。MTRの駅からは離れていて不便だったけど、スケルトンツアーだとホテルまで送迎がついていたのでそこまで不便だという記憶はなかった。
 それよりも空港近くの下町に激ウマの甜品店(Mrs.Sweetie 口甜舌滑)があり、チェックインして荷物を預けて身軽になると(ツアーだから2時間前には空港に連れていかれる)その店に駆け込んで最後のマンゴープリンを堪能し、保冷剤とクーラーバッグを持ち込んでなんとか空輸しようと悪戦苦闘した記憶の方が鮮やかに蘇る……はずが、その思い出の町並みは何一つ残っていなくて軽くショックを受ける。
 スクラップアンドビルドの街ゆえの宿命なので仕方ないと思いつつ、この香港の建築ラッシュは大陸マネーが流れ込んでいるからなのかねぇ、と愚痴ってしまう。

展望デッキからの眺め
分かりやすい分別ごみ箱
冷たい水と熱いお湯が汲めるサーバー
翻る2つの国旗

 現在はフェリーの発着所になっているこちら。


 しかし肝心のフェリーは運行停止中らしく、館内に立ち入りはできるけれどレストランやショップは全てクローズ。工事中のエリアもあって、人影はほとんどない。最上階の展望デッキに上がるとようやく散歩中らしい人とすれ違ったくらい。
 展望デッキからの香港島を一望できる眺めは素晴らしかった。ここで旧正月のビクトリア湾花火大会なんか眺めたら最高だろうな。その時期にはお店も埋まるようになるのかしら。
 初香港が旧正月の真っ最中だった、というのは先のnoteに書いたが、その時にビクトリア湾花火大会を見に行ったのはよい経験だった。次々上がる冬の花火は美しかったし、観客の歓声が「哎呀ー(アイヤー)」だったので「本当にアイヤーって言うんだ…」と妙なことに感心した記憶がある。
 ジリジリと肌を刺す陽射しにそろそろ限界を感じ、ミニバスで九龍塘駅まで戻る。行きは2階建てバスでぐるぐる回ったけどミニバスはその半分以下の時間。途中、工事現場から仕事上がりなのか工人のお兄ちゃんがぞろぞろ乗車してきて(料金は工人割引らしい)、やはりミニバスは庶民の足だなぁ、と思う。
 この後は香港島に渡ってみよう。
 


 

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