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彼女がNYに来た訳

なんとなくを大切に、そして、イメージは壮大に。

それ自体が叶うがどうかはわからないが方向は合っていく、と感じたブルックリンでの出会い。

ブルックリンの古着屋さんで、白いバスローブみたいなアウターを買った。

Tシャツにスキニーデニムのようなシンプルな装いにさらりと羽織ったら素敵だろう。

古着屋のオーナーは日本人の女性。
店を出して20年らしい。

「昔からニューヨークに住みたいと思ってはいたの」

昔から、って、いつからですか?

「ずっと前から」

子供の頃ってことですか?

「そうね」

実年齢から10歳も15歳も若く見える60代のその人は続けた。

「私が日本で働いていた時は男尊女卑が激しくて、25歳くらいで結婚するのが一般的で。
だんだん居づらくなっちゃって。
今しかないって、30歳になる時にNYに来たのよ。」

何をとっかかりにしてきたんですか?

「何をって?」

NYに来る手段です。仕事とか、留学とか。

「語学留学よ。それしか手段はなかったわ。」

それからお店を持てるようになるなんてすごいですね。

「お店やるつもりなんてなかったけどね」

話はいろいろな方向に広がりお店を持つまでのストーリーは聞けなかったが、
留学して、現地の方と結婚して、離婚して、彼女の今があるらしい。

「ビルを買うつもりだったの」

ビル!?NYに!?

「ビルが買えるくらいの人と結婚するつもりだったのにそれは叶わなかったわ」

すごい。
ビル買おうなんて、日本でも考えたことなかった。

彼女はビルは持てなかったが、ブルックリンにお店を持ち、20年続けている。

ビルとお店の違いはあれど、彼女のイメージと現実の方向性は合っているように思った。

できるとかできないとか考えなくていい。
イメージは方向性を与えるものなのだ。
壮大に思い描けばいい。

「よく似合うわ。
いままでいろんな人が試着したけど、あなたが一番よく似合う。
これは小柄で細身の方に合うと思ってたの。」

本当に思って言ってくれていると思う。
でも口車に乗せられたんだとしても、いい。
何か買って帰りたかった。

「また来てね。」

なぜ子供だった彼女がNYに惹かれたのだろう。

また来たときに聞いてみようと思いかけて、やめる。

理由なんてどうでもいい。
ないかもしれないし、なくてもいい。

なんとなく思ったことを大切にして、壮大なイメージを膨らませて、そして今があるのだ。きっと。


2024年3月27日(水)
ニューヨーク チェルシーのホテルで
昨日を振り返って





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