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あまとみトレイル〜信越トレイル 200kmのパックパッキング(前編)


2022年ひと夏の間、コロラドトレイルを歩いていた。
その中で歩くことと、街での補給が好きだということに気づいた僕は、まだハイキングを終わらせたくない気持ちと、早く終わって美味しいものが食べたい気持ちとで葛藤していた。

コロラドトレイルを歩き終えたあともまだ時間はある。
どこか歩きに行こう。
と、コロラドトレイルのゴール地であるデュランゴに近づくあたりから次のトレイルを探していた。

海外のトレイルはなかなか行けないし、海外にでも…と考えていたが金銭的に厳しい。
世界的な物価高と、円安の影響でどこに行くにしても航空券が高かった。

それならば日本で…
と探す。

程よい距離の200km程度を目安に探していた。

候補地はいくつかあった。
・東海自然歩道セクション
・高島トレイルを起点として滋賀一周トレイルセクション
・あまとみトレイル〜信越トレイル
・スノーカントリートレイルセクション
・熊野古道 伊勢路〜小辺路
・塩の道トレイルからどこかまで繋げる

この中からあまとみトレイル〜信越トレイルを選んだのは
・比較的情報がまとまっている(道を繋げるために調べる時間がなかったので、他のトレイルはめんどくさくなったってのも事実)
・秋シーズンは休みが取りにくいので歩くなら今
と考えた。

熊野古道が最後まで候補に残ったが、熊野古道は冬でも歩ける。年末年始休暇を使って行くことも可能だ。

対して信越エリアは豪雪地帯なので、冬に行くことも出来なくはないが長い距離を通して歩くというのは僕には不可能だと考えた。

その他にも諸々スタート時には整理しきれていなかった気持ちというものが僕を信越エリアに向かわせた。
歩き終わった後、なぜ信越エリアに惹かれたのかがわかった気がする。
それについては後述したいと思う。
今回200kmの旅について、前編、中編、後編の3部で書いていく。

9月16日からスタート。
早速テント場を予約し、他の宿等はその場でなんとか取れるだろうというところで、旅の予定は決まった。
新たに購入したTrailBumのBummerに装備を詰め込み、新幹線に乗り込んで長野駅へ向かった。

1年前の7月、延伸前の信越トレイル80kmを歩いた記憶を思い出しつつ
この1年で感じ方は変わっているかな?と期待に胸を膨らませて長野駅に着いた。

コロラドトレイルでの経験を踏まえて装備内容は去年からかなり変わっている。
必要最低限になるまで物を置いて行く。
歩く行為を邪魔しない最小限の装備。

行程は余裕を持っていて、体力的にも精神的にも余裕があるように設定した。
最低限の装備でたっぷり余裕ある行程で歩いたらどんなもんだろかねぇみたいな感じだ。


長野駅を降りる。



ドンキホーテがあるトレイルヘッドなど世界中を見渡してもここぐらいしかないだろう。

日本語が通じる安心感を覚えつつ、僕は散策気分で善光寺へと向かった。


善光寺参道を歩いて行くと、
バックパッカードミトリーの看板がある。

つい先日までのコロラドトレイルの日々を思い出す。
僕はあの旅が続いているかのような、まだ帰ってきていないかのような気持ちだった。
帰国してから1週間弱経過しているというのに。

そんな気持ちをそこそこに善光寺へ向かう。
朝の9時ごろ。
おにぎり屋さんがあったので、そこで朝食を取る。

善光寺へ向かうと、観光している人たちがちらほらといる。
善光寺の参道でおやきを食べ、
通り抜けると、あまとみトレイルの道標が現れた。


住宅街を通り抜けると、りんご農園を通る。
売店はやっていなかったので残念ながら何も買えなかった。

しばらく歩くと、水場が現れる。

爪割清水。
今回、途中から思いついたのが水場やキャンプ地の座標を記録していこうと思いついた。
geographicaというアプリで座標記録していったのだが、共有方法がわからない…。

あまとみトレイルの前半は水場が豊富で困ることがない。

里山というか、裏山というか
住宅地にほど近い低山を歩いて行く。

この道には像がたくさん置かれていた。
よく手入れされていて、地元の人に愛されているのだろう。


公民館を通る。
灰皿を見つけたのでついつい腰を下ろして一服。
この手前の農道で、ハイカー2人組と出会った。
あまとみトレイルを3泊4日でスルーハイクするそうだ。
初日の宿泊場所が一緒なので、また後ほどと挨拶をして別れる。

前半の見どころは善光寺から戸隠神社だろう。
参拝するようにコースを辿る。
戸隠古道と名が付いている。

キャンプ場へは13時半ごろに着いてしまった。

まだ歩けるんだけどなぁと思いながら、今回は急がない旅なんだと思い直してキャンプ場前の食堂へ入った。
今日はここで宿泊だ。
のんびりビールを飲んで食事を済ませ、申し訳程度サイズのタープを張った。

………翌朝

戸隠古道を歩いて行く
道中、キノコの様子を見に来た地元の人に山栗をもらう。
渋いけどこれ齧りながら歩くんだと教えてもらった。


戸隠古道を歩き、中社、奥社、戸隠牧場と見どころ盛りだくさんの道を歩いて行った。

奥社に寄り道をし、蕎麦を食べてのんびりと歩いて行く。


3日目、氷沢避難小屋にて迎えた朝。
氷沢避難小屋手前の夢見平遊歩道の心地よさを思い出しつつ、避難小屋の快適さに感謝して片付けを始めた。

1日目に出会ったハイカー2人も同じところに宿泊して、色々と話をした。
1人は今秋にテアラロアのセクションハイクを計画しているとのことだった。
いいなぁテアラロア…行きたいなぁ。

「トレイルではオープンであれ」
誰かが言ってたらしい。
全くもってその通りだ。
共通の話題があるから、話すに事欠かない。
楽しい時間を過ごせた。

先を急ぐわけでもないが、やることがないので歩き始める。
程なく歩くと、また立派な休憩所が現れる。

中で休んで行きなよ!
と地元の人が声をかけてくれるので、中の自販機で飲み物を買ってつい長居してしまった。

このスローペースに少し慣れてきた。

再び牧場横を通って行く。

すると、すれ違ったご夫婦が教えてくれた。
今日の18時半スタートでトレイルランニングのレースがあるみたいよ!
…なんだかコロラドトレイルからレースに縁があるなぁ
と思いつつ、歩み進めた。

レースのスタートゲート
信越五岳なんとかレースだったと思う


こんにちはー、とレースのスタッフの方に挨拶をする。
それとなく気になったので、様子をなんとなく知りつつも「レースですか?」と聞いてみる。
なんでも3年ぶりの大きなレースらしい。
みんな気合いが入ってる様子。
100km または 100mile(160km)のコース設定みたいだ。
あまとみトレイルはまだあまり浸透していないみたい…。

トロッコのレール跡や、苗名滝など見どころを通っていき歩いて行く。

その先の杉野沢集落はのどかで思わず立ち止まる。
ウロウロ散歩してみたり、しばらく休憩してみたり。

スノーボードを再利用したベンチ

こういうところになぜだがコロラドを感じてしまう。
コロラドトレイルのトレイルタウンにはこういった再利用デザインのベンチや椅子、インテリアに使ったりというのが多かった。

綺麗な田園風景が広がるのどかないい街だ。
写真は撮ったが、写真ではなんとも言えない暖かみがあるので、ぜひ歩いて景色を見て欲しいと思う。

のどかな田園風景を過ぎ、少し山間に入る。
そろそろキャンプ地を決めないと…
妙高高原ビジターセンターや、関川関所に立ち寄りつつ考え始めた。

Googleで検索をすると近くにキャンプ場がある。
野尻湖の手前あたりだ。
野尻湖まで行ってしまってもいいが、のんびりし過ぎたせいで時刻は16時前。
手前のキャンプ場で泊まることにした。

最終日は野尻湖を過ぎ、斑尾山まで向かう。
早めに着いてお風呂でも入りたい…

そんなことを忘れてついついのんびりしてしまう。
野尻湖の景色も素晴らしい。

斑尾山へアプローチ手前の神社
ここで1時間くらい休憩した


荒瀬原登山口へ着く。
水場がなく、残りの水が500mlほどと少し困った…。
途中、沢水が流れているところがあったのでそこで水を補給する。

草木が茂っていて、少し歩きにくい。

同じルートで歩いている親子3人組がいた。
微笑ましい光景だ。

たんたんと登ると斑尾山へ着く。
近づくにつれて、このエリアの道の感じを思い出す。

到着すると、休憩していたお父さんがいた。
どこから?と聞かれたので、歩き始めは長野駅からですねー
と言うと、私も昔はねー縦走で何泊かしたよー
と目をキラキラして教えてくれた。
男はいつまでも少年なのかもしれない。

今回はチロル口へ降りてあまとみ区間は一旦終わりだ。
飯山駅からアクセスできるホステルの予約を取っている。

斑尾高原ホテルから飯山駅行きのバスがあるので乗車する。
お風呂に入りたかったが、残念ながら斑尾高原ホテルのお風呂は12時でクローズしてしまう。

汗臭い身体を少しでも和らげるべく、濡らした手拭いで身体を拭いて街に向かった。

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