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実際にはないものが見える?幻視をともなう「レビー小体型認知症」

「黒装束の人たちがいる……」「知らない家族づれがいる」
診断される前には警察に相談する人もいる「レビー小体型認知症」について
お話します。


レビー小体型認知症って?

脳に「レビー小体」という異常タンパク質がたまることにより起こる認知症です。

レビー小体がたまる病気といえば「パーキンソン病」。
これは中脳と呼ばれる「脳幹」のうちの1つに、レビー小体がたまっていきます。

レビー小体型認知症は、脳全体にレビー小体がたまることで、さまざまな症状を引き起こします。

アルツハイマー型認知症とは全く異なる「特徴」を説明していきます!

レビー小体型認知症の特徴4つ!

アルツハイマー型認知症では「もの忘れ」が特徴的でした。
しかし、レビー小体型認知症では「もの忘れ」ははっきりとは目立たず
進行していくにつれて出現していく人も多いのが特徴です。

その他、レビー小体型認知症といえばこの4つがとても特徴的です!

① 認知機能の変動
 数時間や数日、数ヶ月の期間で認知機能に「波がある」ということです。

 「午前中はハキハキ話していたのに、午後は全く話が通じない……」
 「この前は良くなかったけど、いまは調子がいいみたい」
 このように、良い状態と悪い状態を行ったり来たりするのが特徴です。

② 幻視
 タイトルにもあるように、実際にないものが見える「幻視」が起こります。
 
 「黒い服を着た人たちがたくさんいる」と言って警察を呼ぶ人。
 「知らない人が家に入っていたと思ったけど、少ししたら消えた」と言う人。
 レビー小体型認知症の方は、とても色鮮やかなはっきりとした幻視が見えます。

③ レム睡眠行動異常
 眠っている間、人間はレム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)を
 繰り返しています。
 レム睡眠の間は、脳の指令(手を動かせ!など)は体には届きません。
 体は弛緩していて力が入らない状態なのです。
(金縛りはこのときに覚醒してしまい起こるものです)

 レビー小体型認知症の方は、脳の指令が体に届いてしまうため、
 夢を見ている時に大きな寝言を言ったり、体を動かしたりしてしまいます。

④ パーキンソン症状
 先ほど、レビー小体がたまる病気として「パーキンソン病」を挙げました。
 レビー小体型認知症でも同じような症状が起こるのです。

 体がうまく動かせなくなったり、動きが遅くなったり、
 倒れそうになった時に反射的に体を支えられずにバランスを崩したりします。
 そのため、レビー小体型認知症は「転倒」が多いのも特徴になります。

言語聴覚士が診る「特徴的な検査所見」

認知症の疑いがある患者様には、言語聴覚士などの専門職が
「神経心理学的検査(認知機能検査)」を行います。

アルツハイマー型認知症では、「もの忘れ」に起因した
「記憶課題」で成績が低くなるのが特徴的です。

ですが、レビー小体型認知症では「記憶課題」に問題がない場合もしばしば。
この認知症では「視覚認知課題」にて成績の低下が目立ちます。

これは、目で見てた情報を正確に把握する能力のこと。
検査では、「これと同じ図形を書いてください」と説明し「お花」や
「5角形が重なった図形(Wペンタゴン)」「透けた立方体」を書かせます。

レビー小体型認知症の方は、このような課題をすることがとても難しいです。
これは「幻視」と関係があります。
目で見た情報は後頭葉に入力されます。レビー小体型認知症では、後頭葉の機能が低下しているため、幻視が起きたり、視覚認知課題で成績が低下するのです。 


認知症でも、種類によっては全く症状が異なります!
それぞれの認知症の特徴を知っているだけで、ご家族の不思議な行動にも
納得することができます。

少しでも理解を手助けできていたら嬉しいです。
これからも一緒に考えていきましょう!


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