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あるアイドルと、クリープハイプのあの歌

他にもクリープハイプの好きな曲がたくさんたくさんあるし、
他にもたくさんの思い出や思いが詰まっているけれど
今回はこのお話を書こうって決めました。

私にはクリープハイプの他にもう1組だけ好きなアイドルグループがいる。

どっちの方が好き、とかそういう次元ではなく
私が生きていく為にはどうしても必要な2組だから
他のアーティストの話をすることをどうか許してほしいです。

2018年のある日のこと
そのアイドルグループから1人のメンバーが脱退すると発表があった

アイドルがグループから抜けるということはありがちな話ではあるけれど
そのアイドルグループにとってはそれは信じられないほどの出来事だった。

そのアイドルは、歌うことが大好きで
歌うことに命をかけているような人だった。

何度もライブを見に行ったし
ライブのDVDも毎日のように見ていた

今思えばそのアイドルを最後に見ることになったライブでも
いつも通り幸せそうに歌ってるように見えた。

でもそのアイドルは約半年後にグループを抜ける決断をした。

抜けることが本当に受け入れられなくて
あの時は本当にどうすればいいかわからなかったし悲しかった

そのアイドルグループの曲は聴くことができなくなっていたから、クリープハイプの曲だけをずっと聴いた。

いつもクリープハイプの曲を聴く時はクリープハイプの曲が全部入ったプレイリストをシャッフルして聴いていて、その時もいつも通りそんな風にクリープハイプの曲を聴きながら会社に出勤していた。

「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」が流れてきた。

歌声 歌声 でも君は泣いていたんだね
泣き声 泣き声 僕は気付けなかった
おやすみ泣き声、さよなら歌姫 / クリープハイプ
作詞・作曲 / 尾崎世界観

アイドルとして歌っていてとても幸せそうだと思っていた
ずっとこうしてグループの真ん中で歌ってくれて
ずっとずっとこうして夢を見せてくれると思い込んでいた
こうやって急に終わりが来るかもしれないことを完全に気付けずにいた。

尾崎さんが作り出した歌詞が
私の気持ちと死ぬほど重なった。本当に、死ぬほど。

この歌詞を生んだその時の尾崎さんの気持ちも
そのアイドルが実際どう思っていたのかも、
本当に本当のことは本人にしか絶対にわからない。

それは解釈違いだ。という人もいるかもしれない。

それでも、あの時のあの私の気持ちに誰よりも一番に寄り添ってくれたのは
誰でもなく、尾崎さんが作って、クリープハイプが歌うこの曲だった。

脱退の日、そのアイドルはライブではなくテレビの生放送で
最後の歌を歌った。そのアイドルらしい選曲だった。

最後の4小節 君の口が動く
最後の4小節 君が歌う
最後の4小節 君の気持ちが動く

さよなら
おやすみ泣き声、さよなら歌姫 / クリープハイプ
作詞・作曲 / 尾崎世界観

ずっと、終わらないで、終わらないでと思いながら、
そのアイドルの曲を聴いているのにこの歌詞が頭の中をぐるぐるしていた。

生放送はあっけなく終わり、そのアイドルはグループからいなくなった。
その日から「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」を何回も何回も聴いて
何回も何回も泣いた。わんわん泣いた。
もう私はこの件については二度と立ち直れることはないだろうと思ったし
今だから言ってしまうけれど、正直、このグループはおしまいだ。と思った。

「こんな日が来るなら、もう幸せと言い切れるよ 3月18日」@ NHKホールで
クリープハイプがライブで歌ってくれた時は、
やっぱりどうしてもそのアイドルが思い浮かんでしまって
まだまだそのアイドルに未練がダラダラあることにも絶望して
もうそれはそれは死ぬほど泣いた。

あれからもう5年が経った。

そのアイドルがいなくなったアイドルグループは
もうそのアイドルがいなくてもやっていけると言わんばかりに
しっかり成長を遂げて今もキラキラアイドルをしているし
私も変わらずアイドルグループを生きる糧にしてる。

そして先月、
こちらも相変わらずしっかり私の生きる糧となっているクリープハイプの、
3/12 幕張メッセでのライブ
アリーナツアー 2023「本当なんてぶっ飛ばしてよ」に行った。
(そのライブの感想は今別途で書いてる…)

最後の方、「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」が流れてきた時
またあのアイドルを思い出して泣いてしまう…と思って
私は正直しっかりと泣く準備をしていた気がする。

でも私は泣かなかった。涙が出なかった。

私は、目の前でクリープハイプが奏でる
「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」を聴いて
そのアイドルの未練を結構綺麗に断ち切れていたことに気付いた。
でも泣かなかっただけで、何も思わなかったわけじゃない。
あの毎日毎日わんわん泣いていた日々の気持ちが
私の心にかなり鮮明に蘇ってきた。

あれ、なんであんなに泣いてたんだっけ?とは思うけど
なんか鮮明に悲しい気持ちはしっかり蘇ってくる。だけど涙は出ない。
言葉にするのが本当に難しいくらい、これはものすごく不思議な感覚だった。

私はそのアイドルには多分一生少量の未練は抱いて生きていくと思っているから前に進もう、忘れよう。とかは思わない。
でも人間だから、どうしても忘れてしまうことはある。

だけど私にはクリープハイプの「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」がある。
いつだって5年前のあの悲しくてどうしようもなかった気持ちも
先月感じた不思議な感覚も、「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」を聴けば
綺麗に私の心に蘇らせることができる。なんか、ジップロックに入れて冷凍しておいて、あたためなおせばいつでも味わえる。みたいなそんな感じ。

悲しいことを忘れずにいられることは、ものすごく安心できる。

#だからそれはクリープハイプ


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