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「子供には見せられないね」

職場で真面目に論議していたときに、ある社員が言った言葉。
「まかさお父さんたちが、会社で真面目にこんなことを話してるとは、子どもたちが知ったら幻滅するだろうね」
「そうだね、こんなところ、子供には見せられないよ」
では、我々は一体どんな話をしていたのか……?
それは…

スカートとパンチラ

だった。

ゲームには色んな作りの変化があり、昔の2D時代には問題がなかったことが、今では問題になってしまったりする。それがパンチラ問題だ。
3D表示となり自由度があがったためユーザーはイベント中にカメラを移動できるようになった。その弊害として、スカートの中を覗けるようになる瞬間が生まれてしまった。
基本的にはカメラが腰より下に下がらないことで対処出来るのだが、地形によってはそうもいかない。自然地形は凹凸があり、都市部でも階段はある。これらのない不自然な地形にすることも不可能ではあるが、それはゲーム性を著しく損なう。
だからこの話題はかなり真剣にしているのだ。

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これを良しとするか、悪しとするかはプロデューサーや企業判断による。特に最近は審査機構のレーティングチェックがアホみたいに厳しい。「それくらいで?」ということで引っかかったりする。
それもこれも犯罪が起こるたびに犯罪者の趣味を暴き出し「犯人は人付き合いが苦手で、ゲームばかりしていた」といかにもゲームが歪んだ人間を作った元凶だと言わんばかりの報道をするマスコミのせいだ。ならば私は「低俗な内容のテレビを見て人格形成に影響ヲ与えた責任は?」と言いたい。
ともかく、そういう報道をされることから社内のデバッグチームには専門でこのチェックを行うスタッフもいるくらいだ。

「先の対処ですが、この場所にて、意図的にイベントを発生させた場合、スカート内をカメラが映すことが可能です。本件は対処NGとして戻させていただきます」

「…ということですが、もう方法がモデルの造型変更しかありません」
「でも、この時期にモデルの差し替えは無茶でしょ?」
「しかし何でダメなんですかねぇ…こいつ、人間じゃないのに

そうなのだ。
問題になったキャラクターは、人型をしているが、人間の女の子ではない。

「そりゃ、そういうのが刺さる性癖のヤツもいるからだろ」
「あぁ、面倒くせえ!!」

後ろの席から聞こえる会話に耳をそばだてながら、私は「イベント内容を変更するから、シナリオ書き換えよろしく」といわれないようにビクビクしていたのだった。

結論はまだ出ていない……

ゲーム業界に身を置いたのは、はるか昔…… ファミコンやゲームボーイのタイトルにも携わりました。 デジタルガジェット好きで、趣味で小説などを書いています。 よろしければ暇つぶしにでもご覧ください。