見出し画像

ウンブリア州トーディの紹介

1. 概要

今回は僕が2023年の4月から住んでいるイタリア、ウンブリア州にある「トーディ」という街について、地理や歴史などの基本的な情報を紹介します。
文章の作成に当たっては、街の博物館の展示やパンフレット、HPを参照しています。(https://www.comune.todi.pg.it/it)

トーディはイタリアの中部ウンブリア州のペルージャ県にあるコムーネ(基礎自治体)です。ウンブリア州はイタリア中部以南では唯一海に面していない州で、「緑の心臓」とも呼ばれています。

地理的にはおおよそローマとフィレンツェの間、イタリア本土のほぼ中心に位置します。下の地図の赤印の位置です。

人口は郊外含め15,682人(2023年1月1日時点)、面積が222,86㎢、標高は中心街が400m、郊外の最低地点が125mとかなり標高差があります。(tuttitalia.itより)

街の中心部は丘の上にあるため標高が高く、ローマなど他の都市と比べて平均気温が低く、天気が変わりやすいです。

2. 街のシンボル「鷲」

トーディの街のシンボルは「鷲」で、街の紋章にも描かれています。それは、人々が鷲に導かれて街を築いたという伝説があるからです。

中世の伝説によると、ある人々がテヴェレ川(現在の街の北西を流れる川)の岸に街を作ろうとし、そこで食事をとっているときのこと。二匹の異なった色のひなを抱えたとある一匹の鷲がテーブルクロスを持ち去り、丘の頂上へ飛び立っていき、そこへ導かれた人々がトーディの街を築いたと言われています。

その伝説から鷲は街のシンボルとして、現在も中心街の建物にブロンズ像が飾られていたり、先述のとおり街の紋章にも描かれたりしています。

1339年制作のブロンズ像

3. 城壁から見る歴史

トーディの歴史はおよそ前8世紀に遡ります。当時のウンブリア人の領土とエトルリア人の領土の境界に位置していたトーディは、エトルリア人によって街が築かれ、前3世紀から前1世紀には街に初めて城壁が築かれました。

エトルリア時代の壁

エトルリア人の勢力が弱まると、前1世紀からは古代ローマの時代となります。この時代にはひと回り大きい城壁が築かれ、また現在の街の中心であるポポロ広場(Piazza del Popolo)の地下にはローマ人が築いた貯水槽があります。

ローマの衰退後、ランゴバルド王国の支配下となった後、12世紀には自治都市となり、領土を広げていきました。

現在の街の外壁、市庁や教会などの建物の多くはこの中世の時代に建てられ、以後修復や改築を重ねて現在の姿になっています。

現在の街の外壁

4. 中心街と3つの教会

街の中心はポポロ広場(Piazza del Popolo)という場所です。現在は東側に市庁や銀行、博物館が、反対の西側にはバールやパスティチェリア(スイーツのお店)があります。

下の写真の建物は、中世と現代における行政の中心の建物です。

写真右)Il Palazzo del Popolo 1293年建立
写真中央)Il Palazzo del Capitano 1213年建立
ポポロ広場(Piazza del Popolo)
写真中央)Palazzo dei Priori 1334建立

ポポロ広場の北側にはドゥオーモ(大聖堂)が建っています。正式名称は Cathedrale di Santa Maria Annunziata a Todi です。12世紀後半に火事でほとんどが全壊した後、修復を重ねて現在の姿になっています。

ドゥオーモ
(Cathedrale di Santa Maria Annunziata a Todi)


ポポロ広場から2分程歩いたところには、サンフォルトゥナート教会(Chiesa di S. Fortunato)があります。13世紀から15世紀にかけてゴシック様式に改築されたものの、未完成のまま現在に至ったと言われています。そのため、上半分と下半分で異なる様式の建築になっているのが特徴です。

教会の中には多くのフレスコ画や、中世の詩人ヤコポーネ・ダ・トーディ(Jacopone da Todi)の墓などがあります。

サンフォルトゥナート教会(Chiesa di S. Fortunato)


中心街から丘を下るとコンソラッツィオーネ教会(Tempio della Conslazione)があります。ルネサンス期に建設された教会で、ブラマンテ(Donato Bramante)が設計した言われることもありますが、公的文書は残っていないそう。周辺は広場になっており、骨董市など開かれることもあります。

コンソラッツィオーネ教会(Tempio della Conslazione)

5. ウンブリアの緑

トーディの街の丘の下には小麦などの畑や緑地が広がり、様々な場所からウンブリアの自然豊かな景色を楽しむことができます。

6. おわりに

今回紹介したように、トーディは長い歴史を持ち、豊かな自然に恵まれた街です。また実際に住んでみて、行政や街の人々がその歴史や自然を誇りに思い、大切にしているようにも感じます。

少しアクセスが難しいですが、治安も非常によく、複数人での旅行はもちろん、一人旅にもおすすめの街です。

今後も沢山この街の魅力を発見し、発信していけたらと思います。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?