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小池都知事の「自粛の要請」

はじめに

仕事を終えて食材を買っての帰宅途中,バスに乗ってほっと一息ついたところ,小池都知事が緊急記者会見をやるという情報が流れてきた。

これはいよいよ首都封鎖か,とにかく目立つのが大好きな現都知事のこと,都知事選を前にして存在感をアピールすべく大騒ぎをするのかと思いながら会見を聞いていた。

夜の8時という,ただでさえ一連の騒動で疲弊している家庭の憩いの一時に大声で割り込んで緊急会見をするような内容だったのであろうか。

またもや現都知事に翻弄されたしまった一都民としてぐったりしたのが昨夜である。

都知事の語った内容はこんな感じだった。
1 感染者数の推移
2 26,27日はできるだけ在宅勤務をされたい
3 夜間の外出を控えられたい
4 週末は不要不急の外出を自粛されたい
である。

1感染者数の推移

確かに急増したのはわかる。でもそんなものは正確な統計数値や感染源などと共にリリースで流せばよいことではないだろうか。

ちなみに,これは東京都に限らないが,感染者数などという数字は減ることがなく増える一方で当然なのだから,やれ何人に到達したと騒ぐ前に,何人がお亡くなりになり,何人が快癒して退院され日常を取り戻し,何人が現在治療中なのか,もう少しきめ細かい数字を明らかにしてもらいたいものである。

2 在宅勤務

各企業はとっくに可能な社員については在宅勤務に切り替え済みである。現在もなお通勤しているのは在宅勤務が困難な職種であったり,在宅勤務の体制が整っていない職場に勤務されている方なので,この期に及んでできるだけ在宅勤務と言うことにどういう意味があるのだろうか。

ちなみに東京メトロの発表についての報道によると,平日の利用者は20%,ラッシュ時は銀座線で30%減少しており,今年度の業績は80億円減少する見通しとなっている。

私を含めて通勤している人は既に感じていると思うが,都内ではラッシュという状況を目にすることはかなり減っているのではないだろうか。

3 夜間の外出

夜間の外出がいけない理由はよくわからない。お得意のフリップによると3つの密(ちなみに「みつ」と聞いて真っ先に壇蜜が頭に浮かんだ自分はやはりオヤジなのだと痛感させられた)がいけないそうであるが,3つの密は昼夜を問わないはずである。

3つの密がある場所は昼でも控えるべきだろうし,3つの密がない場所なら夜でも控えることはない,ということにならないだろうか。

4 週末の不要不急の外出自粛

最近「自粛の要請」という言葉が乱発されているが,そもそも「自粛」というのは自らの意思・判断で行動を控えることであって,他人から要請されて行動を控えるのはもはや「自粛」ではない。だから,「自粛の要請」という言葉自体奇異ではないだろうか。

特に「自粛の要請」という言葉を行政が使うことに違和感,嫌悪感を感じると共に,それが平然と報道され,流布されている状態に末恐ろしさも感じる。
行政として行動を抑制させたいのであればどこかの外国のように明確に禁止と言ってもらいたいものである。
もちろん法的根拠も明確にした上で。

5 おわりに

少しケチをつけるようなことばかり書いてしまったが,現都知事のおっしゃりたいことは理解できる。でも,言うまでもなく東京都は近隣各県との間で膨大な人数が行き来しているのであるから,東京都だけであれこれ言っても限界があるのであり,近隣各県とも協力し合わなければ意味がない。ではそういう協議はしているのだろうか。

会見を聞いていたら誰でも頭に浮かぶそうな疑問なのだが,聞いていた限りでは記者の誰からもこの点の質問はなかった(していた方がいたら申し訳ない)。

ということで,憩いの一時を邪魔されたモヤモヤ感だけが残る後味の悪い昨夜であった。

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