わたしは月の王女さま
わたしは月の王女さま。
久しぶりに地球にこっそり遊びにきた、月の王女さま。
羽布団がとっても重いのも、ずっと月にいたから。
上手く歩けないのも、まだ地球に慣れないから。
頭が締め付けられるように痛いのは、王冠を被ったままこの星へ来たからだわ…
ほとんど力が入らない自分の身体といかに楽しく付き合うか。
そこで生まれたのがこの小さな空想だった。
「私は月の王女さま」
そう思えば、自力で歩けない今の現状を、優しく受け止めることができるのではないか。
終わりの見えないこの病との闘いに、ほんの少し夢を与えることができるのではないか…
今の私は重力に逆らえないような、激しい脱力感が続いている。
座っていても、息苦しさや首が座らない感覚があるため、横にならざるを得ないのだ。
どうしても気が滅入ってしまう、そんな時こそ空想の力を。
以前よりは動かなくなってしまった頭を精一杯巡らせて、御伽の国をのぞいてみよう。
一日一日を一生懸命生きて、繋ぎ合わせていけば、きっと元気になる日が見えてくると信じて。
「わたしは月の王女さま」
とても辛い時間すら少し素敵に変える、魔法の言葉。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?