Yui

96年生まれ。闘病中。読書、書くこと、学ぶこと📚そんな毎日がとても好き。たくさんの方に…

Yui

96年生まれ。闘病中。読書、書くこと、学ぶこと📚そんな毎日がとても好き。たくさんの方に言葉を贈れますように✉️(現在、体調不良につき、お返事に時間がかかってしまいます。ご理解いただけたら幸いです)

マガジン

  • わたしは月の王女さま

    難病と闘うために生まれた、私の小さな空想物語。

  • 自作の詩をまとめています。

  • 本と私

    読んだ本の感想をまとめています。

  • 私宛の手紙

    私宛の手紙。 疲れた時、悩んでいる時、自分の気持ちを知りたい時… 切手をペタリと貼って投函していきます。

最近の記事

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わたしは月の王女さま 〜青い地球に憧れて〜

わたしは月の王女さま。 どんなところなのか知りたくなって、こっそり地球に遊びにきた、月の王女さま。 月から見た地球の青さに憧れて、秘密の大冒険の旅に出たわたし。 「月に住む者は、絶対に地球では暮らすことができない」 こんなことを周りの人が言うのを聞くたびに、「本当にそうなのかしら?」と好奇心がどんどん膨らみ、ある日、月を飛び出した。 わたしは、どこまでも青い地球の海に憧れた。 その青の中に飛び込んで、どこまでも泳いで行かれる自由を手に入れたいと願った。 月にいたら見ること

    • 『冬の朝』

      紅茶から浮かび上がる一本の湯気。 冬の朝の凛とした空気に、一本の柔らかな線を描き出し、いつのまにか溶けてなくなってしまう湯気。 その曲線は、おぼろげで優しく、ぼんやり眺めているうちに、なんとも神秘的な光景に感じられた。 紅茶から浮かび上がる一本の湯気。 その白い線は、いつのまにか、白い妖精へと姿を変えていく。 薄衣をまとった妖精たちが、私の目の前でたちまち軽やかに踊りだす。 森の精霊のように、白く長い衣装をまとって、優雅なステップを踏み続けながら。 音も立てずに

      • 『朝焼け』 詩と今の私のお話

        『朝焼け』 鳥飛んだ まだ青く眠る空の向こう側へと 一羽 夢を見るように弧を描いて 鳥飛んだ 橙色に染まる空のなか 二羽 手をつなぐように姿消し 鳥飛んだ 朱色に目覚めた空の上を 三羽 その時を待っていたかのように やがて赤く燃える太陽が 地平線の上へと顔を出す 鳥たちの姿はない 目が眩むような光に包まれた地上には 今日という日のはじまりの神秘で溢れていた 光の中でただただ立ち尽くす私 祈りを込めてその大いなる自然を胸に刻む 2023.11.29 みなさん、大

        • ぬくもり

          「今ナースコール押してくれたよね」 暗闇の中、温かい手を感じる。 さっきまであれほど硬直していた身体が、その声でふっと和らいでいく。 「大丈夫だよ」 人形のように硬直している私の脚を触りながら、彼女は言う。 「治まってきたら、酸素を落としていくからね」 酸素マスクをしたまま、話すこともできない私に、声をかけ続けてくださる彼女の声が、優しくカーテンの中に響く。 少しずつ、少しずつ、身体から力が抜けていくのを感じる。 カーテンが開く音、そしてふたたび閉まる音。 それが幾度も

        • 固定された記事

        わたしは月の王女さま 〜青い地球に憧れて〜

        マガジン

        • わたしは月の王女さま
          4本
        • 20本
        • 本と私
          3本
        • 私宛の手紙
          3本

        記事

          わたしは月の王女さま 〜素敵なお友だちに恵まれて〜

          わたしは月の王女さま。 どんなところなのか知りたくなって、こっそり地球に遊びにきた、月の王女さま。 地球に来た時は、一緒に連れてきた月のうさぎしか仲間がいなかった私。 でも、noteを通じて素敵なお友だちに恵まれました。 星の王子さまの弟、ふみおくん。 とても優しくて、かわいい男の子です。 今ではすっかり仲良しの私たち。 思い切ってこの星に来たから出会えた、私の大切なお友だち。 みなさんお馴染みのおかのきんやさんが、先日私の記事をご自身のページで紹介してくださいました

          わたしは月の王女さま 〜素敵なお友だちに恵まれて〜

          秋風が吹くまえに 

          あっという間に夏が通り過ぎ、秋の香りが仄かに漂う季節となりました。 みなさんはどのような夏の時間を過ごされましたか? 私は、病気とひたすら闘っていました。 硬直の範囲が広がり、座位を保てなくなることや、一人で食事をするのも大変な日があったり…… とても現実とは思えず、ふわふわと夢の中にいるような思いでした。 昨年、病名を告知された時、私は思いました。 「たとえこの杖が私の体重で折れてしまったとしても、私は今日も自分の脚で立つのだ」 そう言い聞かせて、毎日必死の思いで杖に

          秋風が吹くまえに 

          『風鈴』 終戦記念日に捧げる詩

          『風鈴』 風鈴鳴った まどろむように流れる 夏の空気をくぐりぬけ 砂利道を走る自転車の中を 猫たちが涼む庭の中を 風に揺れるリネンのカーテンの中を…… 風鈴鳴った うつらうつらしている 夕暮れの庭を通り抜け 青く湿った草の上を 黄昏の光を浴びる蔦の上を 眠りゆく朝顔の花びらの上を…… 風鈴鳴った 暮れていく軒先の金魚鉢の水に ひとつ ゆるやかな波紋が浮かびくる 2023.8.15 今年も8月15日を迎えました。 決して忘れてはならない日です。 今も世界中

          『風鈴』 終戦記念日に捧げる詩

          『花火』 詩と今の季節に思うこと

          『花火』 夜空に咲いた大きな花火 一瞬にして闇の中へ 天高く花開くと たちまち火の花びらは 星々の間を駆け抜けて 夜空の深い深いところへ 可憐な花のように 綺麗な泡のように 美しい人生のように…… 人々の歓声は ふたたび空へと昇る花を見つめては 下駄の音のように花やいで わたし一人 消えていく火の粉見つめて 鼻緒にぽとりと涙をこぼす 2023.8.6 いつのまにか立秋を迎え、暑い中にも秋の気配が漂う季節となりました。 私はあれから病状がなかなか回復せず、蝉の鳴き

          『花火』 詩と今の季節に思うこと

          ふたたび

          気づけば蝉の声がする季節となった。 自分の身体に難しい病気があることがわかって、初めて迎える夏となる。 春には一時的に歩けるようになったものの、梅雨から下降気味となった私の身体。 今も全身の硬直と脱力を繰り返す日々が続いている。 でも、そんな中、嬉しいことがあった。 ふたたび大学の試験を受けることができたのだ。 「5分だけでも」 体調がよい時間を見つけ、やれる時に学び続けた成果が、ようやく実を結んだ瞬間だった。 試験を受けるところまで漕ぎ着けることができたことで、少し自

          ふたたび

          梅雨と共に

          今年も梅雨を迎えましたね。 横になりながらぽつりぽつりと涼やかな音を聴くのは、心落ち着く時間です。 梅雨入りと共に、私の体調にも変化が起こりました。 あんなに軽やかに動いた身体は、雨粒を乗せた紫陽花の葉のように重く、以前のしなやかさなど忘れてしまったかのようです。 noteは回復次第、少しずつ更新する予定です。 これからも今できることをできる限り頑張っていこうと思いますので、見守っていただけたら幸いです。 今日は夏至。 夕暮れ時には、紫陽花の花びらのように彩豊かな、光の

          梅雨と共に

          わたしは月の王女さま 〜小さな小さなおまじないの言葉〜

          わたしは月の王女さま。 どんなところなのか知りたくなって、こっそり地球に遊びにきた、月の王女さま。 地球に来た時にまず驚いたのは、自力で歩くことすらできなかったこと。 そして月からかぶってきた王冠が重くて重くて、毎日頭が痛くて仕方なかったこと。 でも、今はもう大丈夫。 上手に歩けるようになったし、身体に痛みも感じない。 地球に慣れるために、わたしは痛みに耐えて歩く練習をした。 まずは杖を使いながら。 そのあとは、自分の力で一歩ずつ。 最初は転んでしまった日もあった。 脚

          わたしは月の王女さま 〜小さな小さなおまじないの言葉〜

          誰も登ったことのない山を目指して

          「もし60分勉強して身体に痛みが出るのなら、毎日50分を目標に勉強してみよう」 「それでも無理があるようなら、今度は40分を目標にしてみよう」 最近の私はこんな風に勉強を頑張っています。 痛みやこわばりが出ないよう身体と対話をしながら、ドイツ語の辞書をめくる日々です。 たまに私は聞かれます。 「なぜそんなに頑張るの?」と。 なぜなのだろう…改めて胸に問いかけてみました。 痛みに耐えながら、敢えて勉強する必要はないのかもしれません。 もっと身体を休ませてもいいのかもし

          誰も登ったことのない山を目指して

          『川の輝き』 詩とちいさなお話

          『川の輝き』 橋を渡ると 車の窓から川が見えた 緩やかな曲線を描いて 美しく輝く川が はじまりもおわりもわからないその水面 何かに導かれるままゆったりと 西日の中で微笑み放つ 走り出した車の窓から どんどん川は小さくなる 水面の輝きもだんだんと 景色の中に薄れゆく 2023.5.21 車が橋の上を走っていた時でした。 左手に綺麗な曲線を描いて流れる川が見えました。 この川はどこで生まれたのだろう。 そしてどこへ行くのだろう。 どんな川と出会い、どこへ流

          『川の輝き』 詩とちいさなお話

          優しい贈りもの

          とても嬉しいことがありました。 先日私が書いた記事「今日が来ること それは大いなる喜び『少女ポリアンナ』を読んで」を、ご自身のページで紹介してくださった方がいらしたのです。 お名前はwingcatさん。 note以外にもKindleで小説を出版なさったり、意欲的に執筆活動をされています。 noteを通していつも私のことを温かく見守ってくださるそのお人柄は、どの記事からも滲み出ていると感じます。 「あなたの記事が紹介されました!」というnoteの通知を受け取り、どんなことが

          優しい贈りもの

          今日が来ること それは大いなる喜び 『少女ポリアンナ』を読んで

          先日読んだ本の中で、こんな台詞がありました。 一見なんてことのない少女の台詞が、この春、私の頭の中で鳴り続けているのです。 昨日がどんな日であれ、今日が来ること。 昨日という日が過去になり、新しい今日という日が訪れたこと。 これはどんな意味を持つのでしょうか…… 最近私はこんなことを考えるようになりました。 私の半生は、捉え方次第で、喜劇とも悲劇とも言えると。 たとえば病気になったこと。 私の病気はなかなか理解が得られませんし、終わりも見えません。 そういった意味では

          今日が来ること それは大いなる喜び 『少女ポリアンナ』を読んで

          『立夏』 詩と初夏に思うこと

          『立夏』 立夏の風にカーテンが揺れる 春の足跡を吹き消すかの如く 見上げた空は 目が覚めるような濃い青に白い雲 夏の訪れを教えるかの如く 風の音に 空の色に 日に日に長くなる光の先に 初夏の気配は満ち満ちて またひとつ風が吹く 舞い上がるカーテンから 橙色の日が溢れ落ちる 2023.5.6 今年も立夏を迎えました。 薄く繊細だった空の色は、いつのまにか目が覚めるような濃い青に変わり、白い雲との対比に生き生きとした美しさを感じます。 日が長くなる初夏といえば、カー

          『立夏』 詩と初夏に思うこと