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ぬくもり

「今ナースコール押してくれたよね」
暗闇の中、温かい手を感じる。
さっきまであれほど硬直していた身体が、その声でふっと和らいでいく。

「大丈夫だよ」
人形のように硬直している私の脚を触りながら、彼女は言う。

「治まってきたら、酸素を落としていくからね」
酸素マスクをしたまま、話すこともできない私に、声をかけ続けてくださる彼女の声が、優しくカーテンの中に響く。
少しずつ、少しずつ、身体から力が抜けていくのを感じる。

カーテンが開く音、そしてふたたび閉まる音。
それが幾度も繰り返されていくうち、発作は治まってくれた。
薬を飲んだわけでもない。
人の手の温かさ、言葉のぬくもりが私の身体に届いたのだろう。

誰にもわからない魔物のような発作に、私と一緒に向き合ってくださった彼女の姿は、まるで暗闇の中の灯台のようだった。
この人の手は、一体、何人の人の命や心を、助けたのだろうか。
まだこわばる身体を横たえながら、そんなことを考えている私がいた。

看護師さんへ。
いつもありがとう。


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