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届かない手はリアルと差異ない

夢を見た。

2日経った今でも思い出せる、鮮明な夢。

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私は1人、家の中に立っている。

いつの間にか、弟がいて、母がいて、父がいる。


少し高血圧気味の母が、発狂する。

「あんたのせいだ」

と。

そうして、私の目の前で、リビングのど真ん中で首を吊る。

私は、泣き叫ぶことさえもできない。

ガタンっと、台にしていた椅子が倒れる。
ドラマみたいに本当に倒れるんだと思った。


そして、あとを追うように父も首を吊ろうとする。

私に向かって言うのだ。

「お前のせいで、母さんは死んだ」

また、私を見ながら彼も藻掻く。
しばらくして、冬の静けさだけが戻ってきた。

最後に弟が罵倒する。

「最初は優しかったのに、どうしてそんなになっちゃったの?」

呪いの言葉を発しつつ、彼も椅子を蹴った。


手を伸ばすけれど届かない。
私には止める術がなかった。

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起きた時、私は実家にはいなかった。
隣には恋人がいて、静かな寝息を立てている。

私はそこで気づく。
意外と動揺していない自分に。
冷静な自分に。

涙を流さぬ私は、ロボットのように家族に連絡を入れる。

私は、こんなに冷ややかな人間だっただろうか。

彼女が起き、ようやく私は狼狽えた。
もしかしたら、「動揺している私」を私は信じたかったのかもしれない。


それでもどこか冷静な思考を保持している自分に、私は私に嫌気が差した。


あなたの生活のプラスになりますように…。