矢原小春

22歳になりました。最早手記のようなもの。 Contact→Yabarahikari@…

矢原小春

22歳になりました。最早手記のようなもの。 Contact→Yabarahikari@gmail.com

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  • エッセイ

    自分のこと、それから、周りのこと

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春のおいしさ、ゆたかさ

私、そろそろやばいかも。化粧してないどころかコンタクトだって最後に入れたのいつだっけ。ツイッターで『久々に化粧しちゃった、スーパー行くだけだけど笑』みたいなこと言うほど若くないし、化粧好きでもない。オンライン飲みも最初は楽しかったけど、ジェラピケのパジャマチラ見せとか、同棲マウントとかがめんどくさくなってきて、もう昔の話になりつつある。実家から届いた大量のそら豆とタケノコ。ちいさな紙にびっしり詰まったお母さんの走り書きの文字が、ちゃんとしなさい、って言ってるように感じる。とり

    • ドキドキ時々散文

      ■なんかね、ふわっとね。今のわたしには恐らく書くことが必要であると感じたので、少しずつ書いてみようと思います。ばかみたいに積んだ本。不幸顔して聴く音楽。くたばってる花束。酔っても吸っても寝ても満たされなくて、むしろ手に入れたかったものから離れている気がしていて、平らに言うなら焦燥感を、凸的に言うなら虚しさを、凹的に言うなら馬鹿馬鹿しさを感じてる。こんなことなら、早く早く早く酔っ払ってどうしようもなくなりたい。酔ってるから仕方ないのねって見下ろされたい。わたし、どこ間違えてたの

      • 自由の欲

         欲しいと思うことは、欲求だ。お金が欲しいから働き、性欲を満たしたいからセックスをする、お腹がすいているから食べる。性欲と「欲しい」の違いは、一体何処にあるというのだろうか。子どもが欲しいからセックスをするだけでは無いだろう。お金が欲しいだけで働くわけじゃないだろう。お腹が空いているだけで食事をする訳じゃないだろう。私たちの欲はどこまで行っても曖昧で、その答えを持つ人は誰もいない。ならば、どんなものに欲を抱いても、どんなものに性欲を抱いても、それは不思議では無いのかもしれない

        • 浜辺のプラスチック

          校舎から海が見えるなんて最高だ、と思っていた。放課後には砂浜を裸足で歩いて、授業中には流れ込む潮の匂いを嗅ぐ。海の近くには住んでいるけれど、周りは畑だらけで、結果海に恵まれなかった私は、海が見える校舎、というのが、物凄く尊いものだと思っていたのだった。けれど、実際はどうだろうか。砂浜はカラフルなプラスチックがあるせいで、裸足で歩くなんてもってのほか。授業中に流れ込んでくる潮は、生臭さを乗せていて、窓を開けることはほとんどない。海と言っても東京湾だったわけで、当然の結果と言える

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          5本

        記事

          どうか、幸せに

          「家族って、そんなに大事?」 わたしは特に意味もなく、ポツリと呟いた。意味は当然ある。泣き腫らした目を冷やして、すこしだけ落ち着いた脳で考えていた。 「答え求めてる?それ。」 彼は小さく眉を潜めると、深い深いため息をつく。私の背中に載っている手のひらが月明かりのようにぼんやりと、私を照らしている。一筋の光を追って、わたしは目を細めた? 「答えがあるなら、聞きたいかなあ。」 もうとっくに柔らかい保冷剤を潰すように押し当てる。冷たくない風が吹き込んで、わたしはいつの間にか夏にな

          どうか、幸せに

          買える幸せカヌレのはなし

          年々甘いものを沢山食べられなくなっている。 中高校の時はスイパラに週1くらいで行って、吐く寸前まで食べては、「幸せ〜」と言っていた。なのに、スイパラなんて何年行っていないだろう?3年近くは行っていない。 1年に1度のホールケーキも以前ほど嬉しくない。歳とったなあ、なんて、21のくせに思う。 でもやっぱり、甘いものは好きだ。この季節なら、競走のように食べるアイスキャンディも、どろどろに溶けたチョコレートも、湿気ったクッキーも。どれもこれも私の回復薬。 だけど、高校1年生の

          買える幸せカヌレのはなし

          エブリスにて、中編小説を描きました。美しい少女と、恋愛の話です。読んでくれたら、とても嬉しいです。よろしくお願いします。また、これに伴い、筆名を「矢原小春」と変更しました。 蛾になる https://estar.jp/novels/25974307

          エブリスにて、中編小説を描きました。美しい少女と、恋愛の話です。読んでくれたら、とても嬉しいです。よろしくお願いします。また、これに伴い、筆名を「矢原小春」と変更しました。 蛾になる https://estar.jp/novels/25974307

          二度と会えない一番のひとへ

          あたしは酔うために買ったスト缶を、べこ、と潰した。というか、そいつは手の中で勝手に潰れた。 私は久々に会社で怒られて、お土産を一人だけもらえなくて、友達に今週末の誘いを断られて、仲良くなかった人から結婚式の招待状が届いて、踏んだり蹴ったりじゃん、って思ってたところだった。こんなのってないよ、泣きそうになりながらスト缶を開けた。 それが五分前。 『直木賞受賞式』って言葉が並んでて。ああ、そういえばそんな頃だったな。あたしはいつになったら『そっち』に行けるんだろ。そう思ってな

          二度と会えない一番のひとへ

          ハッピーエンドの行先は

          何かで読んだ文章の中に、「映画で見た、花嫁を連れ去ってバスに乗って駆け落ちして、すごく幸せだったふたりは、最後の一瞬、すごく悲しそうな顔をしていたの。」というを遠い昔に読んだ。その会話は500冊を先日越えた私の蔵書の中で息をしているのだろう。 あの会話を読んだ時、私は初めて、ハッピーエンドの後を考えるようになったのだ。ハッピーエンドの小説を読んだ後にそんなことを考えるのはしないけれど、答えが濁されていたり、意味深だったりすると、布団の中でひとりで考えたり、してしまうのだ。

          ハッピーエンドの行先は

          竹宮ゆゆこの分解

          映画が絶賛公開中の、“砕け散るところを見せてあげる”や大人気シリーズ“とらドラ!”で有名な竹宮ゆゆこ。(執筆当時。) 竹宮ゆゆこはラノベ出身であり、その筆致に魅了される読者は後を絶たない。何故、竹宮ゆゆこはそこまでに人を惹き付けるのか? いち竹宮ゆゆこファンとして、更に多くの方に“竹宮ゆゆこ沼”にハマって貰うため、今回は私の文章力、語彙力を惜しむことなく使い、その魅力を伝えたいと思っている。 というのも、新潮nexから先月出版された新作、“心が折れた夜のプレイリスト”を読

          竹宮ゆゆこの分解

          日記 #1

           インスタで久々に元彼から連絡が来た。  元元元彼くらいの、私が1番長く付き合った人だった。 「実家に戻るから、貰った漫画返そうか?」  寝ぼけ眼を擦りながら返信を打つ、10時過ぎだった。 「気をつけてね。処分か売るかしちゃってください。」  昨日窓を開けて眠ってしまったせいで、部屋の空気はすっかり冷え切っていた。肺がちくちくと痛むような寒さを感じながら、彼のことを思い出していた。  一番に思い返すのは彼の部屋だった。  狭い部屋にロフトがあって、ロフトの上はいつ

          日記 #1

          マクドナルドで死の匂い

          「死にたい、って思ったことある?」 由香里が「このポテト、ちょっとしょっぱいね」くらいの軽さで言った。あまりに軽い口調だったから、私は一度浅く頷いてしまったあと、「え?」と聞き返した。私の「え?」を踏み潰すように椿が口を開く。 「あるよ、べつに」 椿はいつものどこかむっとした口調で言うものだから、ああ、そういうものか。と一瞬納得しかけてしまう。けれどやっぱりふたりの会話についていけなくて、もう一度、「え?」と言ってみる。由香里はガラス越しの夕焼けを見ながら、小さく唇を動

          マクドナルドで死の匂い

          人類はやっぱり「ギャップ」が好き

          内定を頂いて、周りより一足先に就活を終えた私が今1番していることはトレンドを把握することである。 Twitterくんが教えてくれる記事を読んだり、 YouTubeくんがオススメしてくれる人気動画を見たり、 Instagramちゃんが次々と流してくるリール動画や投稿をとにかく見ている。 SNSの良いところは、食わず嫌いする必要が無いことである。だって、無料だもの。 そしてここ最近気づいたことがある。 人類、ギャップ好きすぎ説。ここ最近で顕著にそれを感じたのがこの記事。

          人類はやっぱり「ギャップ」が好き

          麺類頂上決戦

          「今日はラーメン食べよう」 彼が嬉しそうにそう言った。私は少しムッとして、ラーメンは嫌だな。と思った。 私は麺類の中で、素麺が1番好きだ。 とにかく早くできるし、何にでも合うし、冷たいのも温かいのもできるし、なんだかスルッと食べられる。 風邪の時にお母さんが作ってくれるにゅうめんも最高だし、飲み屋さんの〆で鶏白湯のにゅうめんが出てきた時は、そう来たか、と唸った。最高だった。 でも彼氏は、麺の中だとラーメンが1番好きだ。 しかも、具がたっぷりで、油コテコテで、食べた

          麺類頂上決戦

          新デレラ

          パッ、と文字盤が切り替わって、数字が12時に変わって、日付が進んだ。終電がないことを確認してから終電無いかも、と言う時のちょっとした背徳感が背筋をすっとなぞった。彼はすっかり薄くなったウーロンハイを持て余すようにくるくると回して、澄んだ視線で私を見た。ガンガンと鳴り響くDAMチャンネルの音声が妙に遠くに聞こえてくる。私は何故か慌てて、こちらもすっかり薄くなったカシスオレンジをくちびるに寄せた。氷が溶けだして温くなったカシスオレンジを、テイスティングくらい少しだけ含んで、口の中

          新デレラ

          不自由な季節とアスパラガス

          前編 私から春が去っても、季節は巡って春が来る。無慈悲な彩りの世界に目が痛むけれど、暖かさに背筋が伸びることも確かだ。 なんでこんなに、失恋ばかり繰り返すのだろうか。 自分が惚れっぽい事は分かっているけれど、全てが叶わないのは、分からない。自分に全ての問題があるようにも、思えない。花屋の彼は、スイートポテトを食べる前に、身一つで出ていった。2つ並んだカップも、夫婦箸もそのままに。 彼の匂いが残した部屋に、何人か招いた。良い感じだと思う人も、居た。けれど、手元に残っている

          不自由な季節とアスパラガス