見出し画像

nWoよりJr.が旬 10月24日 新日本・福岡国際センター1998.11.07 矢部明洋

 常々、新日本の地方興行はファンをなめている、と考えていた。昨年10月、同じ国際センターで興行を打った全日本が三冠戦を九州のファンにプレゼントしてくれたのに比べれば、例えIWGPのJr.2大タイトル戦を持ってきたとはいえ(それもライガーVSサムライでは)明らかに全日本の方にファンへの誠意を感じる。
 この夜の新日のマッチメークも、全くといっていいほどワクワクさせる要素がない。それでも滅多に観戦の機会がない九州のファンは足を運ぶのだが、さすがに2、3階には空席が目立った。試合が始まっても、予想通りの展開で、本当に途中で帰ろうかと思った。  気分を変えてくれたのは、大谷、高岩VSカ・シン、金本のタッグタイトル戦。4選手の独特の個性と銭の取れる技が、スリリングに噛み合って最高の試合となった。特にフィニッシュの高岩パワーボムとカ・シン逆十字のしのぎ合いは、格闘技マンガのようなドラマチックな盛り上がりを見せた。このワンマッチでチケット代は元が取れた。
 ところが、やっぱり、得心がいったのはこの1試合のみ。メーンに登場したnWoもゴングが鳴るまではカッコイイが試合は全然おもしろくないゾ。今の新日はnWoのパッケージで客寄せし、Jr.のハイクオリティーで客を満足させているようなもんだ。両国国技館でやる興行の緊張感を全国の会場でも見せてくれヨ、新日本。

 追記 新日の福岡の宿は天神の東急ホテル。26日の夜、藤田がタクシーで外出から帰ってきたのに遭遇しました。車の通行がある4車線道路の横断歩道を堂々と信号無視し、通りかかった車に、にらみを効かせて停車させ渡って行きました。Tシャツにジーンズ姿の彼は、まったくもってゴリラが服を着て歩いているようでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?