Midjourney漫画作成ワザ:背景作成の強い味方、describeコマンド
生成AI漫画にありがちな顔マンガを避けるために
漫画の初心者にありがちな漫画の構成が「顔マンガ」だと言われます。これはキャラクターの顔メインで話が進んでいくマンガで、一般に文字だけで状況を説明する必要があるので文字数、コマ数が増え、テンポが遅くなる原因にもなります。
この回避方法としてはさまざまあるのですが、その中でもまずは取り組みやすい世界観にマッチした背景ストックの作り方を共有します。
前提:顔マンガとは
これについてわかりやすく説明された投稿があったので、まずこちらをご覧ください。
(この投稿では顔マンガを完全否定しているのではなく、ストーリーで読ませる漫画には向いていない(状況の流れが分かりづらい)という説明がされています)
特に画像生成の世界はイラストを描かせてそれを繋いで吹き出しをいれたら漫画の完成、と思っている方も多いので自然と顔漫画になりがちです。
もうすこし付け加えると遠景や複数人(特に複数の主要人物)の配置、後ろ向き、横向きなどは現在の画像生成では少し難しい分野です。(正面からの美少女のイラストがほとんどですね)
今回はこちらの作品を題材にしてどのように背景を作っていったかを解説します。
ステップ1: 世界観に必要な画像のピックアップ
まず最初に、物語の世界観を形成する上で重要な画像をいくつかピックアップします。これには、物語が設定されている場所や、その場所が持つ独特の雰囲気を反映した画像が適しています。例えば、中世の城、未来都市、幻想的な森など、物語の舞台になる場所を想起させる画像を集めます。
上記の作品「This was it」はアメリカのオクラホマ州の大学が舞台となります。
たとえばこちらのシーン、コマは小さいですが場所を移動しているという文脈を大学のキャンパスの遠景で表現しました。
こういった絵をストックするために実際の大学の写真を持ってきます。
ではdescribeコマンドを使って、これをプロンプトに還元してみましょう!
ステップ2: 「describe」コマンドで雰囲気抽出
次に、ピックアップした画像をMidjourneyの「describe」機能を使って分析します。この機能は、画像の特徴や雰囲気をテキスト形式で抽出することができます。このテキストを利用することで、具体的な時間帯、色彩、構成などの要素を把握し、それらを背景生成の指示に反映させることが可能です。
まずは/describeと打つとimageかlinkかの選択肢が出ます。どちらでもいいのですが、まずは簡単に自分のローカルから画像をアップする方法であるimageオプションを使いましょう。
/describe image:
ここまで打つと画像を選択するポップアップが出ます。実際に上記の画像をアップするとコマンドは終了です。
出力:
それぞれ「赤煉瓦の」「木に囲まれた」「大学のキャンパス」的なことを言っています。この中で一番雰囲気が近そうなものを選んでみましょう。
文章が長いので2を選んでみました。ちなみに漫画調にしたかったのでいつもいれているこのプロンプトを頭に添えています。
(masterpiece), (monochrome) (detailed lineart) (japanese manga), (black and white)
*こういった繰り返す使うプロンプトはぜひPreferコマンドで保存しておきましょう。
さて、生成結果はこちらです。なんと漫画っぽさが微塵もありません。モノクロですが、なんか局所的に赤かったりしますね。
これはプロンプトをよく読むべきだったのですが、photographicのような表現が漫画表現を上書きしており、red bricksのような色の表現がモノクロを上書きしているようです。
というわけでちゃんとプロンプトの部分を読んでいらない部分を削って見ました。
無事漫画っぽくなりました。上の写真もクオリティ高くてすきなんですけどね。漫画を描く際はクオリティ良くても使えないものが沢山あるので、こういった場で供養しています。w
ステップ3: 雰囲気の調整
「describe」によって得られたテキスト情報を基に、時間帯や色彩を細かく調整します。例えば、「夕暮れ時の中世の城」という情報を基に、夕日の色彩を背景に加えることで、よりリアルで感情的な背景を生成することができます。また、季節や天候の要素を加えることで、さらに物語の雰囲気を高めることが可能です。
同じくThis was itにはクラブにいくシーンがあります。まず何も考えずにプロンプトだけでクラブを描いてもらいました。
嫌いじゃないんですが、なんかクラブっぽくはないですよね・・。Nijiを使うと全体的に日本フレーバー(電柱・電線・エアコン室外機とか)が入ってくるので海外を舞台にする場合は厄介です。
日本じゃないよ、というために「Texas」と付け加えて見ました。安直ですね。それでは結果をどうぞ。
かなりサボテン推しのクラブになりました。ちょっとメキシカン風味ですね。まあテキサスって言ったからなんでしょうが、そこまでテキサスしなくていいです。でもどう伝えればいいのでしょうか。
やはりこれはdescribeで実際のクラブの外観を使ってその特徴をプロンプトに落とすのが手っ取り早いです。
*念のための説明ですが、ここで使う画像は学習をしているわけではなく、あくまでその写真に何が写っているかを記述するために使っています。
さて、これを使うとこうなりました。
雰囲気いいですね。ここで、クラブの名前をMardi Grasにしたり、並んでいる人を立たせたりして調整したのがこちらです。
この絵を一枚だすだけでクラブの入場は済ませました。w
ステップ4: 部分的に切り取り、キャラクターの視線を表現
生成した背景は、そのまま使用するだけでなく、部分的に切り取って利用することも一つの手法です。特に、キャラクターの視線や感情を表現するのに適した部分を選んで、コマの一部として使用することで、読者が物語により深く没入できるようになります。
たとえばこのシーン、寮にルミが帰ってきたところですが、彼女の目線で部屋のシーンを描くことで部屋の中に入ってきているという動作を表現しています。
これは事前に部屋の風景をいくつか生成して、その中の一部を切り取って使っています。寝る時はベッドを映す、作業する時はPCを映す、などキャラクター自身を描かずに動作をさせることができるので非常に便利です。
まとめ:describeで世界観にあった背景ストックを貯めておこう!
このように、「describe」機能を駆使することで、AI漫画における背景生成をよりコントロールし、物語の世界観を豊かに表現することが可能になります。
特に最初はキャラクターに注意が行きがちで顔マンガになりがちです。後から読むとわかるのですが、自然と説明がくどくなり、話のテンポが遅れがちです。絵面的にも単調かつうるさくなります。
小手先といえば小手先ですが、まずは背景ストックを貯めておき、できる限りキャラクターを描かずに動作を表現できないか検討してみましょう!!
また、生成AIで描いた漫画はこちらでまとめて掲載していますので、ご興味があればぜひ読んでいただけると嬉しいです!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?