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横田早紀江さん講演「神様の時を待つ」

新井教会で東西教区連合会女性会が開催された。日本ホーリネス教団の都内18教会の女性会が集まった会。この日の講師は、北朝鮮🇰🇵拉致問題の被害者である横田早紀江さん。題して「神様の時を待つ」。お目にできることは、生涯で最後だろうと思ったので、男性だが参加(ちなみにゲストが有名人だったので男性参加者も多かった)。


 横田早紀江さんも既に87歳。1977年11月15日に、当時13歳だった中学生の娘の横田めぐみさんが「煙のように消えて」しまってから、45年が過ぎ去った。警察も捜査してくれたが、娘の匂いは海に近い自宅から二つ先の角で、警察犬の鼻から消えていた。それ以来、来る日も来る日も、早紀江さんは哭き叫び、畳を掻きむしっていた。そんな早紀江さんを見かねて、近所に住むクリスチャンの婦人が早紀江さんに「ヨブ記を読みなさい」と聖書を置いていった。最初は『こんな時に、このような分厚い本など読めますか』と拒否反応だった。しかし読書家の横田早紀江さん。ヨブ記第1章21〜22節には、以下のような聖句があった。「わたしは裸で母の胎を出た。また裸でかしこに帰ろう。主が与え、主が取られたのだ。主のみ名はほむべきかな」。それ以来、横田早紀江さんはクリスチャンとなった。
 めぐみさんが失踪してから25年後、その原因が北朝鮮による拉致であることが判明した。北朝鮮の指導者であった金正日が、世界中の人々を捕獲して拐っていった。日本人だけでも特定失踪者は800人もいる。日本の有為な若者たちが連れ去られたこと、家族の情愛が踏みにじられた。その衝撃は大きかった。「救う会」では、全国で1,400回もの講演を行った。外務省前での座り込みも何度も行った。しかしいまだに、めぐみさんは帰って来ない。その間に横田滋さんは亡くなり、残った親は有本恵子さんの父・明弘さん(94歳)の2人だけとなった。横田早紀江さんは3月から狭心症に罹り、もうあまり無理は出来ない。岸田首相は身を挺して北朝鮮に乗り込んで、金正恩の心を動かして欲しい。
 横田早紀江さんの話しを聴いていると『神様はいったい何をしているのだろう?』という気持ちになる。しかし一方で、横田早紀江さんを支え続けたのも、信仰の輪である。拉致現場であった新潟市からずっと一緒に帰還を祈ってきたクリスチャンの婦人たち。今でも毎月第3木曜日には、いのちのことば社で「横田早紀江さんを囲む祈り会」が開かれ、毎回50人ほどが参加している。そういう意味で、横田早紀江さんには網の目のようなネットワークが張り巡らされている。横田早紀江さんは「まさか自分がこんな人生を送るとは夢にも思わなかった」と、真っ白になった髪の毛で語る。この日われわれに呼びかけられたのは「毎月1日の正午に、めぐみの帰還を祈って欲しい」。気丈に生きてきた横田早紀江さんの唯一の希望である、奇跡の時が訪れますように。


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