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斎藤栄「悪の帝王切開」

斎藤栄「悪の帝王切開」。産婦人科・甲賀病院に入院中の臨月の妊婦が、医師を装った何者かに誘拐された。目の前から、忽然と患者を連れ去られてしまった甲賀陽一は、必死の捜索に乗り出す。それは帝王切開を強要するための誘拐犯という、非道極まりない犯罪だった。医療を悪用した医師が起こした犯罪。
 表題作ほか、産まれたばかりの子供を遺産争いで誘拐されることを恐れる母親「狙われた妊婦」、怯える女子高校生たちに迫る脅威を描いた「シャガールの眼」、猟奇的にソープ嬢を立て続けに襲う「隠花植物」の三篇を収録。
 女性の不安や弱みにつけ込んだ犯人。異色の探偵・甲賀医師による「女体犯罪講座」総集編。女性の身体から、妊娠や性交や自慰行為などの、人生の機微を浮き彫りにするリアルな興味深さがある。読めば深い、人間の本性を考えさせられるシリーズ。
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