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「前田憲男を忘れない」Vol.2

けやきホールでのコンサート「前田憲男を忘れない」。この日は前田憲男の命日。ジャズピアニストで指揮者にして、編曲家、、作曲家でもある。ピアノでは佐藤允彦、羽田健太郎と組んだユニット「トリプルピアノ」が有名。編曲家としてはサーカス「Mr.サマータイム」、森進一「冬のリヴィエラ」などの名曲を手がけた。「11PM」「ギミア・ぶれいく」「ニュースステーション」など数々のテレビ番組にも楽曲を提供した。日本歌謡大賞(テレビ東京)」「題名のない音楽会」など音楽番組でも活躍。
 この日は3年前に亡くなった前田憲男を偲ぼうと、お世話になったり、故人を偲ぶミュージシャンたちが代々木上原「けやきホール」に集まった。一周忌に続く2回目の開催である。出演は水谷八重子、伊東ゆかり、渡辺真知子、真由子、国府弘子、田中和音(Pf.カルテット)。故人の思い出を語りつつ、故人に編曲してもらった曲を、思いを込めて歌う。
 特に前半メインの渡辺真知子はずっと好きだった歌手。ベストアルバムは愛聴していたし、コンサートにも行った。この日は「かもめが翔んだ日」を歌ったが、自分は「ブルー」が好きだった。落ち込んでいる時に聴いて更に激しく落ち込む、自分にとって自虐的な曲だった。今は歌謡曲歌手からプロフェッショナルなジャズシンガーに化身して、すっかり貫禄がついた。続いてピアニストの国府弘子。ある時はエレクトーン奏者のように優雅に、ある時はバンドを追い込むほどに盛り立て、ある時は夕焼けの音楽教室で故人を偲ぶかのようにしんみりと弾き込む。変幻自在で今日一番の出来。田中和音のキッパリとしたピアノと対照的。
 後半のトップを切って真由子登場。今日のメンバーでは歌も容姿もJK並みに清新。しかも実力を兼ね備えた天から与えられた歌声。今日は母親・朝丘雪路の持ち歌「別れのスナック」を披露。そして前田憲男先生の同世代の朋友として水谷八重子。トークの間に声が掠れていて、お年も召しているので心配だった。しかし歌い出したら、そんな杞憂は吹っ飛ぶ。まるで舞台は演劇「オペラ座の怪人」の如き迫力。流石は超一流の舞台女優。トリは伊東ゆかり。ノースリーブ姿の妖艶さに、思わず息を飲み込む。どう見てもせいぜい40代くらいにしか見えない。亡き父親がファンだったので家にレコードもあったっけ。エンディングは故人の写真を囲んで全員で「Sing! Sing! Sing!」。弾けた舞台から天国に届けよ!という歌声。音楽をやっている男性は、死んでさえも女性にモテモテで羨ましい限り。
https://www.capital-village.co.jp/calendar/concert/2021101801.html

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