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斎藤栄「四国殺人遍路」

 横浜に移転したハート探偵局。江戸川探偵長を訪れた、松山に拠点をおく関西探偵局の二人。彼らからの依頼は奇妙な申し出で、横浜の松平不動産の四国社員旅行の警護だった。高松から徳島に向かう途中、関西探偵局員の水死体が吉野川に浮かんだ。死者は関西探偵局の金庫から二千万円をもち出し、不可解な暗号文を残していた。
 事件があったから依頼があったのか。それとも事件を起こそうと依頼を出したのか。ツアーガイドとして乗り込んだ瓜生姉妹の活躍の脇で、行く先々で不審な事件が連続する社員旅行。四国第一の大河である吉野川と、名勝である大歩危小歩危を舞台に生かした、事件推理の鍵。地理の理解が物語骨格という意味で、松本清張の「点と線」の時刻表ミステリーのような味わいがある。そのトリックを突破した江戸川探偵長が明かした犯罪の真実は、まことに浅ましい欲望の果てだった。
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