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愛する「紀の国屋」の廃業、そして和菓子の衰退

悲しいことが起こった。京王百貨店新宿店のお店に行ってみたら、なぜか「紀の国屋」ブースが閉まっていた。隣にある塩瀬総本家の店員の方に訊くと「今日で全店締められたそうです」と衝撃の回答。お話しを聞くと「コロナ禍が経営に響いたようだ」とおっしゃっていた。中目黒の「菓匠雅庵」の品川e-cute撤退に続くお気に入り和菓子の悲報。ニュースでは1993年に稼働した新工場建設の設備投資資金を、コロナ減収で賄い切れなかったとのこと。愛する和菓子を奪い去るコロナ憎し!
 なんと最愛の和菓子屋「紀の國屋」が5/16を以て廃業。23店舗を首都圏に営業していたが、74年の歴史を閉じるとのこと。1日2万個売り上げるとしていた相国最中など、自社製造の餡など品質への評価は高かったが、顧客層が高齢化したことや、砂糖などの原材料の価格上昇が重荷になった。特に「上がり羊羹」は最も好きな和菓子だった。元々職場で僕担当の設備投資事業の大トラブルで苦しんでいる時に同僚が差し入れてくれたり、尊敬するデザイナーの先生がパッケージデザインされたりと思い出深い和菓子だった。
 和菓子の生産額はピークだった1993年からずっと下がり続けている。2021年の1世帯当たりの和生菓子の年間支出金額は9920円で、2008年の1万2172円と比べると、2252円(−18.5%)減少している。洋菓子店はコロナ禍で持ち直したというが、和菓子店は激しく苦戦中。その理由として1️⃣コロナ禍による手土産減少2️⃣若い世代の和菓子離れ(無知)3️⃣嗜好の変化(餡よりバターやクリーム)4️⃣核家族化による(食べる側の)世代交代5️⃣製造者の世代交代(ほとんどが中小業者)。自分は年齢とともに洋菓子より和菓子派に移った。ローカロリーかつ値段も安くて、和菓子の方が生活にリーズナブルにフィットしている。和菓子文化そのものが衰退してゆくのは、とても残念。

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