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鈴峯紅也「警視庁公安J アーバン・ウォー」

鈴峯紅也「警視庁公安J アーバン・ウォー」。電子書籍版はこちら↓
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 警視庁でも超法規的な部署にもたらされた事件。それは防衛大学のエリートが抱える闇だった。次々と生贄にされる自衛隊の「別班」「特務班」OB。やがて現役予備軍まで毒牙にかかる。防衛大学の絆は、卒業後の価値観の違いで、殺戮の刃を生む。世界を股にかけた自衛隊への脅威に、警視庁の異端児が自らを危機に晒しながらも解決に乗り出す。
 この作品は石井暁『自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体』(講談社現代新書) の影響を受けている。それは「VIVANT」の影響かもしれない。著書が「別班」を読んでいないということはないだろう。そもそも事件が起こったのは何故だ。結末を知ったら怒り💢を禁じ得ずにいられない。こんな理不尽をぶっ飛ばすには、超法規的な越権行為が必要だ。元国家公安員長にして現役総理大臣の次男であり、警視庁公安局の治外法権。億単位のポケットマネー💰を切り出す男。傭兵生活で誰よりも強く強靭な男。部下のピンチにジャストタイミングで居合わす男。それでいて眉目秀麗で女性スタッフの信頼も厚い。だからこそ、どんな異常事態にも対処できる。そこは著者ご自身が、巻末エピソード『【警視庁シリーズ】第二十巻刊行に寄せて』としてネタばらし。敵の仕掛けが仕掛けだけに、生半可な相手ではない。しかし本題は、自衛隊の正義とは何かという真摯な問いかけだったのかもしれない。

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