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雑記「胃が痛い読後感を作る3つの条件」

漫画「娘の友達」を三巻まで読んだ。

胃が痛い。

家庭では父親として、会社では係長として、“理想的な自分”を演じるように生きてきた主人公・晃介。だが、娘の友達である少女・古都との出会いにより、人生は180度変化する。 彼女の前では、本物の自分でいられた。すり減った心が、癒されていった。それが、“決して抱いてはいけない感情”だと知りながら――。 社会の中で自己を抑圧する現代人へ贈る、“ミドルエイジ・ミーツ・ガール”ストーリーが幕を開ける。
(amazonの紹介分より)

好みの絵柄に釣られて読んだが、いやまったくシリアスな話だった。話自体はすごく面白いし、主人公の境遇も考えさせられる。だが、とにかく気持ちが沈む話だった。

陰鬱な読後感に振り回され、仕事の前に読むんじゃなかったと後悔するほど。

でも新刊出たら買っちゃうんだろうなぁー! 続きが気になるよう!

それにしても、どうしてこんなに気が沈むのか。あまりに気が沈んでやる気が起きなくなったので、どうしたら胃が痛い話ができるのか、自分なりに考えてみた。

①主人公に感情移入できる
②主人公が自分で行動しない/できない
③笑えるシーンが無い

ひとつずつ解説。まず①

①主人公に感情移入できる

これは面白い物語として当然の条件だと思う。主人公に感情移入できないなら、そもそも「どうでもいい」と思ってしまうだろう。

どうでもいいと思われたら終わりだ。「この主人公、これからどうなっちゃうの?」と思ってもらわなければ、次のページには進んでもらえない。次のページに進んでもらえないなら、沈んだ気持ちになってもらえない。

つぎ。

②主人公が自分から行動できない

これ、けっこう大事だと思う。
周りに流されてしまい、主人公が自分から話を動かさないでいると、強烈な無力感に襲われる。

主人公が①の条件を満たしていればいるほど、「こいつ自分じゃどうしようもないよ! だれか何とかしてくれ!」という気持ちが強くなる。同情できる無力な主人公に感情が寄り添っているからだ。
「娘の友達」の主人公はまさにそんな感じだった……辛い……。

注意点。②は①の条件と連動していて、単純に行動を起こさないだけだと読者の気持ちが離れていく。だってそんなの主人公じゃなくてモブキャラだし。まずは感情移入できないとダメだと思う。

あくまで、「主人公からはどうしようもない」感じを出さないとダメだ。八方ふさがりというか、行動したくてもできない事情とか、やってもとにかく裏目に出るとか。

で、さいご。

③笑えるシーンが無い

別に爆笑ギャグシーンを入れるというわけじゃない。ほっと一息つけるシーンとか、緊張がほぐれるシーンだ。とにかく肩の力を抜きたい

「娘の友達」の中で、主人公は自分が何者なのかということを常に考えている。誰に会っても追い詰められている。

だから力を抜けない。主人公はいつもぎゅう詰めの満員電車の中みたいになっていて、それに感情移入している読者も同じ状況だ。


この①②③の条件を兼ね揃えていれば、自然と胃の痛い話ができる。はず!

(「こういう条件もあるよ」、とか、「見当違いだ!」など意見があれば教えてください……)

ん? つまり。胃が痛くない読後感を作るには、これの逆をやればいいのだろうか。

①は面白い話の条件なので論外として、②と③。

主人公が自分から行動して話を動かし(②の逆)、適度に笑えるシーンを入れて緊張をほぐす(③の逆)。

うーん、どうだろう。十分条件ではないけど、必要な条件っぽい。試してみようか。


ああ、早く新刊出ないかな。読みたいけど、読みたくないような……不思議な気持ち……。

これが恋かな。



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