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流浪の月 凪良ゆう 東京創元社

オーディブルにて。
事実と真実は違う。
リアルな描写に、何度も出てくるこのフレーズや、身近に転がっているとは少々言い難いシチュエーションにもつい納得させられてしまう。
善意の誤解や、分かってもらえないもどかしさ、諦め。
社会の一般的なことから少しでも外れた時の生きづらさのようなものが、突き刺さるような描かれ方をしていて時折、読んでいて苦しくなった。
もっと多様であることを、皆が受け入れられるようになればいいのに。そんな叫びが聞こえてくるような気がする。理不尽ではあるけれど、「許さない」ことができる世間の息苦しさは、結局最後まで解決はしない。

思ったより後味の悪くない結末でホッとしたけれど、現実は、これまた異なるものであることも知っている。
分かってもらえない辛さと、どう折り合いをつけ続けていくか。その葛藤は、誰にとってもテーマであり続けるのかもしれない。

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