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そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ 文春文庫 

オーディブルにて。
現実にはなかなか、あり得ないだろう夢物語のような部分もたくさんある。世の中、そんな風にはいかないだろうと言いたくなる設定もたくさんある。
でも、それでもどこか読後感が良いのは、ここに出てくる登場人物全員が、とてもマイペースで、自分を持っていて、そして惜しみなく主人公のことを大好きで、大事にしていることが伝わってくるからなのだろう。
世間一般の常識からしたら「そんなの、アリ?」と思うようなやり方だとしても、それぞれが自分の価値観で、一生懸命に表現した思いが、お互いに、交差したり、離れて行ったり、時に絡まったりもしながら紡がれていく。
こんなにドラマティックでなくても、みんな大なり小なり似た悩みを抱えていて、でもこの登場人物たちほど明るく笑い飛ばせてはいなかったりして。

ああ、これでもいいじゃないか、それでもいいじゃないか、と思えた時に、自分にも、自分を取り巻く環境にも、ちょっと優しくなれる。
そんな風に元気が出る一冊。

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