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Jリーグデータ分析43「2022シーズンハイプレスの巻」

先日のブログ(ボール支配力とハイプレスの巻 | SPORTERIA)の続きです。

西部謙司氏のJリーグ新戦術レポート2022に記載されていたことの検証?(検証なんて言うと非常におこがましくて申し訳ない気がします。)です。

ハイプレスに関しては、プレー強度を維持できない「60分の壁」ということが記されていました。データを使い確認します。
下表は2022シーズンのチーム別ハイプレス指数と時間帯別ハイプレス試行率です。

ハイプレス指数が高いのは鳥栖(69)、柏(66)、湘南(65)、広島(63)です。
指数が高い上記4チームと、それ以外のチームの時間帯別ハイプレス試行率を可視化しました。

ハイプレス指数が高い「指数60以上」群の方が試行率は断然高いです。
その一方で、45分までの試行率と比べて、以降の試行率は接近しています。
「指数60以上」群の試行率が明らかに落ちています。
西部氏は60分の壁といっていましたが、データ上では45分の壁に見えます。45分の壁に見えますので、前半と後半に分けて数値を見ます。

時間帯別の試行率を前半と後半に集計し、後半試行率を前半試行率で割ります。割ることにより、前半から後半にかけての落ち込み度が分かります。

次に指数60以上と指数60未満に集計し、有意差検定を実施しました。

指数60以上と指数60未満において、前半の試行率は有意差有り(t検定のp値が1%未満)でしたが、後半は有意差は認められませんでした。
前半に比べて、後半は拮抗しているようです。
前半÷後半で落ち込み度を計算しました。指数60以上は91.2%、指数60未満は96.4%で、指数60以上の方が落ち込み度は高いです。t検定のp値は約8%で、有意差こそ認められませんでしたが、かなりの確率で指数60以上の落ち込みが大きいと言えます。
データ上では45分の壁のようなものが見えました。

Football LABにはスコア状況別ハイプレスデータもありますが、今回はスコアを無視して計算しました。
スコアを考慮すると、今回とはもう少し異なるものが見えるかもしれません。
西部氏は60分の壁、本ブログでは45分の壁という結果になり、時間こそ異なれどハイプレスには時間による壁が存在するようです。

Football LABとJリーグ新戦術レポート2022(西部謙司 ELGORAZOBOOKS)からデータや考え方を借用しました。

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