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Albträume löschen~あなたの悪夢、消し去ります~

 彼女はこの夢を何周したのだろう。
 早く終われ、早く終われと思っても現実の彼女は唸りをあげるだけ、目が覚めることはない。
 何度も何度も自分が死ぬのを目の当たりにしては、彼女の精神は崩れていくばかり。足に手が触れられては蹴りあげ、また足に手が触れられと無限に繰り返されていった。

 しかし、何十周もしたとき、もう一人のそれはパタリと消えた。
「えっ……何が起きたの……?」
 彼女は困惑した。その途端、白い光に導かれ彼女の足は自然とそこへ向いた。

「……っ!?」
 彼女が目を覚ましたのは、凍死する程寒く、鼻が曲がる程ひどい臭いがする外とは真逆の場所だった。
 彼女は夢の中よりもひどく困惑した。
「起きたんだね、良かった!」
 見知らぬ青年と動物が扉からいい香りのする食べ物を持って部屋へと入ってくる。
 訳が分かっていない彼女はその青年に身構えた。
「……だれ?」
 睨まれているのを構わず、青年は彼女が入っているベッドに近づき、器に入って湯気が出た白いものをテーブルに置いた。お粥だった。
 そして自己紹介を始めた。
「僕は水仙 凌賀、この子はバクのユメ。よろしくね」
 しかし、彼女の緊張は解けなかった。青年、凌賀は続けた。
「うちの裏で唸り声が聞こえて、なんだろうって思っていたら君がいて、どれだけ揺さぶっても起きないから、家に入れたんだ。そしてユメに手伝ってもらったら、君が目を覚ました……ってちょっと難しかったかな?」
 はにかみながらそう言った。彼女は、助けてもらったことは把握できたようで、
「ありがとう……」とだけ言った。
「取り合えず、これ食べな? お粥って言って、暖かい食べ物だよ」
 凌賀はお粥が入った器を彼女の前に差し出した。お粥の温かさとよい香りにつられ、彼女は迷わず口に運んだ。

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