声かけができないほど自信のなかったあの頃
歯医者にかよっている。
私は歯石をとってもらうのがとても苦手だ。
ズキンと激痛がはしることがたまにあってそれがこわくてビクビクしてしまう。
先日担当してくれた若い歯科衛生士の女性、
(私の通う歯科医院は毎回担当衛生士が変わる)一言も話をせずに黙って歯石をガリガリ...
その沈黙が私の内にますます強い恐怖を抱かせた。
かつての歯科医院での激痛体験とかそのうちにそれだけでなく
過去の失敗してきた悪い記憶までもがよみがえってきて
「はやく終わって~~!!」
と私は心のなかで叫んでしまった。
若い歯科衛生士さんはそんな私の心境は最後まで一切解せずごくふつ~~に
「終わりました~」
…私は思わずその方の名札と顔をまじまじとみつめてしまった。
雰囲気からして勤務歴の長くない新人さんのような印象を受けた。
かわいらしい感じの方だったけれど
きっと経験も自信もなくて
患者さんに何て声かけをしていいかわからないかもしくは
歯石をきちんととりのぞくという責任重大な作業をこなすだけで必死だったのかもしれない。
はじめは少し腹立たしくて
病院のアンケートに書いてやろうかと思ったほどだったが
ふとそんなときに自分自身の過去が思い出された。
アロマセラピストになって仕事をはじめたばかりの頃、私は
「力加減はいかがですか」
このたった一言の短い声かけができなかった。
コンプレックスと自信のなさのかたまりでどこかビクビク
けれども真心と情熱だけは絶対に負けない!
それでもこわくてたまらなくて声かけすら
どうしても言葉が音になって口からでてこない…
そんな時期がどの位あっただろうか
オーナーや先輩にダメ出しされればされるほど
私のなかにある自信はますます小さくなって
消えてしまいそうだった(そのお店はやめました)
それでもめげずに
そんな技量しかなかった私のサロンに
なぜか何度も来店してくださる人が何人かいてくれた。
なぜいらしてくれるのだろうとふしぎな位の気持ちだったけれど(それではいけないのですが)
本当にありがたくて本当にうれしかった。
そんな奇異な?お客様がいてくださったからこそ
がんばることができたしやりつづけることができたと思う。
歯科衛生士さんもきっと少しずつ、少しずつ
上達をしてやがては
「 痛かったですか 」
「あともう少しですよ」
ときっと声かけができるようになるのだろう。
それでもやっぱりどんなときも
真心と情熱
これだけは絶対に忘れてはいけない。
いのちの泉の源はここにあり、それを失わないかぎりは
無尽蔵に道はあたえられると
今でもそれだけははっきりとそう信じている。
お読みくださってありがとうございます。
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