バターにもなれない

歯磨き粉出荷停止の報道に浮き足立ったシロサイの群れ

神さまが一本くらいと引き抜いたビルに住んでたきみに会いたい

ケイコクと間違わぬよう、ジュウヨウは鼻が冷たく湿っています

すみっこで頭掻いててまあたぶん気が合いそうな眼鏡の他人

おやあれは下りのエスカレーターと一緒に吸い込まれた弟

イエローの蛍光ペンで覆われる前に大事な言葉を隠す

いつまでも夜が来ないと大人たち白い顔して海に集まる

同じ場所ぐるぐる回り続けててまだバターにもなれないぼくら

振り上げた拳の先から急速に黄色くなって満月の夜

ジェンガジェンガ そっとあなたの胸に手を入れて小さな骨を抜き取る

その音に誰も気づかず 遠巻きにきみを見ていたゾウムシの擬死

黄色から赤に変わって渡れないわたしはそこで暮らしています

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