ちっぽけなフィッティングルーム

フィッティングルームを出たら春がいて短い丈もいいねとわらう

転んだと思ったきみはしゃがんでて四月のような跳躍力で

だんだんとずれていくのがわかるでしょ春の言葉はあぶなっかしい

牛乳とパンを頼まれていたのにパンと卵を買って帰った

世界には25人のぼくがいてとくにねむたいぼくがぼくです

下水から溢れた意味の洪水も逆さにすればやわらかな雨

帰りますって書いてから二年間帰っていない人のため息

エンジンが止まり世界は黙り込む鼻水をすする音だけ響く

さびしさやうしろめたさやちっぽけが寄り集まってうまくやってる

息を吐き終えた直後に潜ってはいけないことを忘れた二人

駅前に誰がお客かわからずにつねに笑顔で待っている人

噛み砕くのは怖いけど舐めるだけだと永遠に辿り着けない

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