飛んでるほうが好き

足が地に着かない年のはじまりにいっそ月まで泳いでみるか

寒い日にそれは突然やってきて知らない朝を残していった

がに股のコウモリはぶら下がるより飛んでるほうが好きなんだって

手も足も出ないくらいに偶然はちりばめられてスープが冷める

だからって捨てちゃ駄目だよ歯磨きの丸めたチューブみたいな背中

すべらないように歩けばすべらないわけではないと白くまが言う

たくさんの愛をもらったそんな顔してる中身は何か知らずに

今ここで叫ばないという決断を下してぼくは歩き続けた

教室のドアに未練がはさまって閉まらないまま春をむかえる

風として音楽として聞いていた何を話していたか知らない

こっそりとついた私のため息を薄眼を開けて夜が見ている

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