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羅刹の紅(小説投稿)第九十八話

○あらすじ

普通を愛する高校生「最上偉炎」は拳銃を拾ってしまう。パニックになった彼を謎の女「切風叶」に助けてもらうが、町で悪行を繰り返す組織「赤虎組」に狙われることになってしまった。それに対抗するため偉炎は親友である「北条優雷」、さらには不登校だったがかつてこの国の財閥に君臨していた今川家の令嬢である「今川雪愛」と切風の四人で校内に「一般部」を結成。災厄の日常へと突き進む。
赤虎組は資金を確保するため偉炎たちが通う広星高校の地下金庫を襲撃することを決めた。その情報を手に入れた偉炎たち一般部はそれを体育大会当日に迎え撃つことになった。
 体育大会当日、一般部と赤虎組の戦闘が始まった。苦戦を強いられることを予想し、切風は一般部の三人に次の作戦を指示する。だが、ここで赤虎組が仕掛ける。赤虎組の幹部である御影と燿華が単独で学校に侵入をしたのだ。切風はこれを止めようとするがそこに同じく幹部である有坂が切風を食い止める。そして、有坂は偉炎について切風に話し始めた。

◯本編

「、、、今動揺しましたね?」
 しかし、それを見逃さないが有坂だ。さすがとしか言いようがない。
「、、、」
 切風は一旦沈黙を貫いた。まぁ、そんなことをしても流石に隠し切れることではないが一応ということである。
「なるほど、最上くんですか、、、そして彼以外にもまだ何人かいそうですね。彼らがここ数ヶ月の事件に関わっているなら辻褄が合いそうです。」
 有坂が偉炎の存在を前提にして話している。もう、彼の中では確定事項なのだろう。そして、切風もさすがに、無理があるという顔をして
「あーーー、そうかー、、、安藤と小山だな。」
「ええ、あの2人が今朝教えてくれたのですよ。まさかこんなにも有益とは思いませんでしたが。」
 有坂は安藤と小山がスパイであることをカミングアウトした。もちろん、それぐらいで動揺することはお互いにない。
「なるほど、なるほど。ちなみに偉炎を見逃すつもりは、、、」
 切風は保険をかけておく。
「?当然殺しますよ?さすがに我々にとって危ない存在なのは間違い無いです。入学式の際の王電家への襲撃、赤虎組の工場の破壊、教会での妨害。これほどまでに損害を与えておいてさすがに放っておくわけないでしょ?情報を特定次第、家族共々抹殺です。」
 有坂は大太刀を勢いよく肩に乗せた。その様は鬼神のようにいかつく、そして勇ましかった。
「これは、、、さすがに赤虎組を潰さない限り、平穏な日々は遅れなさそうね。」
 切風も日本刀をその小さな体に乗せた。そして、歌舞伎の見得のようなポーズをした。
「とにかくあなたはわたしが止める。これで私たちの勝ちだ、、、君の言ったセリフそのまま使わせてもらったよ。」
「面白い!!」
有坂と切風は再び剣を交えるのであった。

 一方そのころ、学校の中にある金庫では決戦が行われていた。偉炎が御影に放った銃弾だが残念ながら御影の手から出ている謎の光によって相殺されてしまった。
「なんでここに人間がいる!?」
 驚きを隠せないのは事実としてあるが、御影が偉炎の弾丸に気を逸らしたため浮かせていたテナントがその場に落ちた。

     スドーーーーーン
 とんでもない大きさの音とともに地面がわずかに揺れる。そのわすがな時間でお互いがお互い標的であることを確認した。
「偉炎、そっちは大丈夫そう?」
 コマンドマイクから雪愛の声が聞こえる。
「あぁ、問題ない。多分こっちにいるのは、、、御影だ。」
「御影って前に行っていた黒ずくめの格好をしているやつね。」
「そうだ、僕はこれから御影と戦う。だからそっちにいるもう1人、、、多分、耀華だと思うがそいつは優雷と一緒になんとかしてくれ。」
「分かったわ、でも大丈夫なの?前に会った時にあんたコテンパンにされたって切風から聞いているわよ。」
「分からない。多分負ける。」
 偉炎は即答した。
「どうすんのよ?このままだと普通に死ぬわよ。」
「時間を稼ぐ。この状況で有利なのはこっちだ。さっきの音で学校の関係者が集まってくるはず。そしたら困るのはあっちだ。だからそれまで耐えることができれば奴らは逃げるしかなくなるはずだ。」
「でも、、、」
「絶対大丈夫。二、三分だけ頑張るだけだ。これで災厄は一旦去る。」
 偉炎は本気だった。とにかく彼は自身のやるべきことは学校にある。

 一方そのころ、学校の中にある金庫では決戦が行われていた。偉炎が御影に放った銃弾だが残念ながら御影の手から出ている謎の光によって相殺されてしまった。
「なんでここに人間がいる!?」
 驚きを隠せないのは事実としてあるが、御影が偉炎の弾丸に気を逸らしたため浮かせていたテナントがその場に落ちた。

     スドーーーーーン
 とんでもない大きさの音とともに地面がわずかに揺れる。そのわすがな時間でお互いがお互い標的であることを確認した。
「偉炎、そっちは大丈夫そう?」
 コマンドマイクから雪愛の声が聞こえる。
「あぁ、問題ない。多分こっちにいるのは、、、御影だ。」
「御影って前に行っていた黒ずくめの格好をしているやつね。」
「そうだ、僕はこれから御影と戦う。だからそっちにいるもう1人、、、多分、耀華だと思うがそいつは優雷と一緒になんとかしてくれ。」
「分かったわ、でも大丈夫なの?前に会った時にあんたコテンパンにされたって切風から聞いているわよ。」
「分からない。多分負ける。」
 偉炎は即答した。
「どうすんのよ?このままだと普通に死ぬわよ。」
「時間を稼ぐ。この状況で有利なのはこっちだ。さっきの音で学校の関係者が集まってくるはず。そしたら困るのはあっちだ。だからそれまで耐えることができれば奴らは逃げるしかなくなるはずだ。」
「でも、、、」
「絶対大丈夫。」
 偉炎が高らかに宣言した。
「とにかく必ず生きて日常に戻る。そして、学校の金庫も絶対に守り切る。僕が普通になるために。」


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