見出し画像

【Day01】スペイン巡礼〜雨のピレネー山脈超え

朝5時半頃、周りの人たちが出発準備をする音で自分の目覚ましよりも少し早く目覚める。スペイン巡礼の朝は早い。

緊張と高揚感でなかなか寝付けなかったわりにはスッキリした目覚めだった。ドミトリーの電気も付いて自分も準備を始める。靴下を履いて、寝巻きを着替えて眼鏡をかける。いつも通りの朝なのになんだか楽しく思えた。これから800 kmの道のりを歩く朝だからかな。

バックパックにレインカバーをかけて、村で買ったポンチョを着る。新宿まで探しに行って一目惚れして買ったMILLETのバックパック。これがこの先、汗と土、それに雨で色付いていくのかと思うと少しだけワクワクした。バックパックを背負って自分の足で歩く、これでようやく旅ができる気がした。

まだ陽が登らない6時過ぎ、歩き出してサンジャンの村を出る。村を出ると日本っぽい里の道。冷たい雨の中を進み次第に山道になる。途中で道を間違えた時は後ろにいた巡礼者に呼び戻してもらったり、分かれ道では地図を一緒に見る、追い越す時には挨拶をして「ブエン カミーノ(良い旅を)」と声をかける、そんな一体感からスペイン巡礼らしさを感じた。この頃はまだ、そんなことを感じる余裕があった。

次第に本格的な山道になって霧も出てくる。1キロ歩くのが長く感じるようになる。景色が良いと思っていたピレネー山脈は霧と雨で、何もミレネー山脈になっていた。いつも天気に泣かされるのはどこに行っても変わらないらしい。そんな自分の不遇さに嫌気が差した。前世で何をしたんだろう。一度止まったら峠に吹いてくる風の寒さで身体が動かなくなりそうだったので、止まらずに歩いた。


山道の頂上に出て、少し進むと下り坂が始まる。森の中を下っていく。森の中では雨が葉っぱに当たってより強く『雨の音』を感じてしまうので、雨の森歩きは苦手だ。道を間違えたかもと思い始めた時にちょうどよく出てくる、カミーノの象徴の貝殻の道標や赤と白の目印。スマホを使わずに、目で見える目印を頼りに歩くのは最高に生きてる心地が、旅している気がした。

森を抜けると今日の目的地ロンセスバリュスに着いた。レストランやツーリストオフィスの人に聞き、今日泊まるアルベルゲに入りシャワーを浴びて初日が終わった。スペイン巡礼は1日が終わるのも早い。

【Day01】
サン=ジャン=ピエ=ド=ポール 06:15

ロンセルバルス 12:45
歩いた距離 27 km

サポートしてくれるととても嬉しいです!旅の費用や本を買うのに使います。